2011年1月4日火曜日

サイクルモード2010-ロードバイクの明日を探る 完結編

速報性も何もない、昨年のサイクルモードの報告です。完結編とは言え、結論じみたことはもう書いてしまったので、報告ということで。

今年のサイクルモードはいろいろと収穫があった。しかし、最高級モデルはどれも高性能になりすぎて、試乗してもその違いが、サイクルモード程度ではほとんどわからなかった。

試乗コースについて
さて、印象を語る前に、まず今年の試乗コースについて。どうも今年の試乗コースは昨年より短くなった様で、しかも”速い人用”と”遅い人用”のレーンの区別も無く、しかも人が増えたこともあって、自転車の印象を調べるには非常に不向きであった。しかも、自転車も高性能化して、無個性かが進んだわけで、なおさらそうであった。

やはり、もう少し長く、大きいのぼりがある試乗コースかつ”速い人”と”遅い人”のレーンが欲しいと思ってしまう。会場の都合上難しいとは思うが、少しでも改善を望みたい。また、今回、特に大きな事故などは聞かなかったが、このコースでみんながしっかり自転車の印象を確かめようとすれば、事故が多発することは間違いないだろう。


ピナレロ・ドグマ60.1
まず最初に乗ったのは、ドグマ60.1.さすがに一昨年は人が多すぎてあきらめたが、今年は10時丁度に会場入り(とはいえ入場には数十分かかったが)したこともあり、1時間程度の待ち時間で乗ることができた。また、試乗コースも、まだ空いていた。

それでは印象を語ろう。ピナレロやコルナゴ、ウィリエールなどのブースから、試乗コースにはいる場合、本線とは別の直線を通ることになる。そして、ピナレロのブースからカーブを曲がり、本線へ向かう部分は、そもそも交通量が少なく、しかも両側から人が入ってくる心配が無いので、今回の試乗コースでは唯一、しっかり自転車の印象を調べられた。
さて、第一印象は、とにかく進む。普段、7003アルミの剛性に慣れてしまっているから、ものすごく硬いとは思わないが、一般的にいえば硬いだろう。しかし、ただ単に硬いだけではく、とにかく進む。踏むとリニアに加速していき、気持ちがよいフィーリングは楽しい。また、人が途切れたところで、何度か再加速を試みたが、やはりリニアに反応し、楽しい。硬いものを踏んでいる感じが常にあり、重厚感は抜群。脚力さえあれば、どんなステージでも楽しいだろう。

ただ、どうしても限られたスピードであるため、あと20キロ出せればもっと楽しいだろうに、と思ったのも事実。
一方、ドグマに乗っていて、一番うれしかったのが、高級アルミに通ずる、”脚力が無い人を拒む”感覚があったということだ(もちろん実際には金属と違って拒まないと思うが)。
最近多い、誰にでも乗りやすい自転車を目指しているのでは無い、硬派な感じがある。もちろん、カーボン化してしまい、他のバイクに無いものすごい個性があるわけでは無いが、しかし、やはりこういういかにもロードレーサーといったバイクはどうしても欲しくなる。しかし、脚力が無いと楽しめないだろう。

欲しいかといわれれば、当然欲しい。しかし、買いたいか、と聞かれたらそうは答えないだろう。ドグマでゆったりクルージングを楽しむことはできないからだ。やはりレースに使わなければもったいないと思う(中高速域も試したかった…)。そう考えると、まだまだ自分のレベルが追いついていないように感じるのだ。

脱線してしまったが、おそらく、今回の試乗では、ドグマの性能の数パーセントも引き出していないのでは無いかと思う。参考程度に読んでいただきたい。しかし、他のバイクと比べたとき、圧倒的な骨太感と重厚感があったのは事実である。ヘッドの剛性もすごかった。振動減衰性はどうか、と聞かれると、試乗車にMAVICのファイバースポークモデルのコスミックがついていたこともあり、フレーム単体の振動減衰性についてはあまりわからなかった。

コルナゴ・C59
さて、次に乗ったのはC59.しかし、印象が薄い。なぜかといえば、ドグマと同様、サイクルモードの試乗コースでは全く性能を出すことができずに、低中速域のアタック反応性をどうにか確かめた程度だからだ。

ずっと密度が高いものを踏んでいる感じがあって、楽しかったが、ドグマ以上にこの試乗コースで走ることがもどかしく感じられた。

しかし、はっきりとドグマと違いがある。やはり細身の高剛性ラグド構造だけあり、もっとすっきりした印象なのだ。踏んでいて、少なくとも低速域ではドグマほどの個性は無いが、おそらく高速域でその真価を発揮したときの楽しさは格別だろうと想像できる。コルナゴの高級モデルは中高速域の反応がやばい、とは聞いていたが、この低速域のすっきりとした重さを考えると、おそらくものすごい加速をするのではなかろうか。古典的なピュアレーサーの味と予想できる(確かめてみたかった…)。これはすごい。
そして、ドグマより軽いペダリングで、LOOK595ほどでは無いが、踏みやすさを感じた。だからこそ、もっと踏めると重い、よりもどかしく感じたのだ。

 また、ホイールはユーラスのクリンチャーモデルだったが、いやな振動が体に来た覚えは無い。振動減衰性がものすごく高いのだろう。お金さえあれば欲しいと思うモデルだった。何と言うか、本気のレーシングフレームと言う雰囲気があった。

カンパニョーロとフルクラムのホイール
後はしばらく歩き回って、フルクラムとカンパニョーロのブースで少し時間をかけて見物をした。
ユーラスとシャマルとレーシング1とレーシングZERO。これらの違いが気になったからである。2011(2010)年モデルは、シャマルとユーラス、レーシング1とレーシングZEROの違いはほぼハブのみになってしまった。カンパとフルクラムの差も、ほとんど無くなってしまった。
しかし、ハブの差はホイールを手で回した程度ではぜんぜんわからなかった。ただ、レーシング1だけはなぜか重く感じた。リムの影響だろうか。
一方、レーシング1と3、ユーラスとゾンダの間には、スポーク自体の硬さなどで、大幅な違いがあった。一方、レーシング1とZERO、シャマルとユーラスでも、若干スポークテンションが違うように感じたが 、間違いなくユーラスとレーシング1はお買い得だろう。

セライタリアSLRフロー
次に、セライタリアのブース。昨年は、SLRゲルフロー・チームエディションを試し、今年は新しくなったSLRフローを試した。当然サドルの好みは大幅な個人差があり、サドルのインプレッションなど全く役に立つものでは無いと思うが、しかし、確実に今年のモデルの方がお尻をしっかり支えてくれ、安定感が高まっている、といえる。

フォンドリエスト・TF3
次に乗ったのはフォンドリエストのTF3。今年のサイクルモードの目的として、最高級カーボンモデルとミドルグレードカーボンモデルの差を確かめる、ということを考えていたので、それを調べるのに、まさに最適な選択であった。

さて、印象は、というと当然サイクルモードの試乗コース程度の低速域ではそもそも違いすらあまり出ないわけだが、以下の違いは感じた。
・骨太感:絶対的な剛性の違いと言うのは、低速域ではあまり表れないが、骨太感はドグマやC59とは明らかに違う。素材自体の剛性の影響では無いだろうか。
・振動吸収性:明らかに振動の角が丸い。若干ではあるが振動吸収性は高い、すなわち動力伝達効率は、低いのでは無いか。振動減衰性の方は、今回の試乗では明らかにできなかった。
・反応性:骨太感に関連すると思うが、やはり若干反応性は落ちる。とはいえ、低速域では気のせいでは無いか、と思うレベル。ただ、その影響か、楽しさの面では最高級モデルに劣る。

厳しいことをいったが、はっきりいってこのモデルで不満は感じることは無いだろう。最高級モデルを知ってしまっても、価格を考えれば全く不満は出ないのでは無いか。それくらい性能が高い。ミドルグレード恐るべし、である。

ただ、カーボンだとどうしても金属のような明らかな個性が無い。このモデルを人にすすめるか、と言えば絶対薦めるが、自分で買うか、と聞かれたらおそらく買わないだろう。もしCASATIをもっていなかったとしても、もう少し個性があるバイクを選ぶような気がする。

同時に、このままでは各メーカー間の個性がどんどん希薄になって行くのでは無いか、という危惧を強く感じた。どうにかならないだろうか。

アンブロッシオ・ネメシス等
そして、いろいろなブースをまわったのだが、一番収穫があったのは、東京サンエスのブース。個人的に、今手組みホイールが欲しく、リムに興味があったので、いろいろ聞いてみた。

具体的にはアンブロッシオのクロノF20とネメシスの違い。やはり、予想通りといえば予想通りだが、軽量性を追及したクロノに対し、最高級品であるネメシスは、剛性がぜんぜん違うようだ。また、リムのブレーキ面がきれいかどうか気になっていたが、テスタッチのテンチ(TENCHI)についていた、ネメシスと同等品、というリムを使ったホイールを見た限り、TQB加工がしてある様で、非常に滑らかそうだったから安心した。

ファウストコッピ・ダイアモンド
次に乗ったのはファウストコッピのダイアモンド。カーボンと高級アルミの違いを今一度確かめたかったが、今残っているレーシングアルミはもう限られているゆえ、このダイアモンドを選択した。

乗った感じは、CASATI Vinciと似ているが、より硬いものを踏みつけている感じが強い。反応性は最高級のカーボンとあまり違いはでず、感触としてはドグマに近い(もちろんドグマの方が若干踏みやすいが) 。

しかし、ペダリングの軽さを考えると(やはり結構重い)、動力伝達効率は圧倒的に最高級のカーボンの方が高いだろうし、僕のVinciに乗っている経験や昨年のLook595、エヴァディオ・バッカスの経験を踏まえると、やはり高速域での踏みやすさや、クライミング能力では負けるだろう。

ただ、脚力さえあれば、中級クラスのカーボンよりずっと進むのでは無いか(特に平地)。もちろん踏みづらいが、練習して、この剛性のフレームを操れる用になれば、非常に満足出来るのでは無いか。

また、誤解されるといけないので、付け加えておくが、やはり、高級アルミらしく、ただ硬いだけではなく粘りがある。だから踏めば進むのである。


エヴァディオ・カリス
さて、ここまで来て、そろそろつかれてきたが(既に2時を過ぎていたが、まだ昼ごはんを食べていなかった)、丁度、AVEDIOのカリスの試乗車があったので、乗ってしまった。今回のサイクルモードで一番気になっていたモデルのひとつである。

乗ったとき、これなら欲しい、とまじめに思った。これは進む。C59やドグマと、サイクルモード程度では違いがわからないくらい進むし、反応性も高い。違いは骨太感ぐらいだ。以前乗ったGIANTのTCR Advancedよりも進む。このフレームは硬いだけじゃない。ペダリングも硬く、やはりアルミにのったあとだと、非常に乗りやすく感じる。動力伝達効率がより高いのだろう。

後で聞いたところ、ヴィーナスは東レのT1000で、カリスは作っているところが違うから、繊維はわからないが、おそらくT700程度だろう、ということ。しかし、それにしては進む。実際、開発時はもっと高い剛性にしたかったようで、素材をダウンした代わりに、設計で頑張ったということだが、当初の予定よりは、少しマイルドになったそうだ。しかし、個人的には、こっち方が乗りやすいし、聞くところによると、月に1000キロ以上走りこんでいる人からはヴィーナスの評判が高いが、カリスはそうでは無い人も含め、多くの人から評判が高いようである。

当然、レースに照準をあてた乗り味だし、剛性も高いが、これだけ進めば、非常に楽しいだろう。ハンガー下がりも70㎜あり、おそらく中高速域でも伸びていくだろう。
また、ヘッドは上下異径では無いのでDOGMAほどの剛性感は無いが、十分な剛性があり、フォークも好印象である。
実は今、グラファイトデザインのフォークが気になっているのだが、AVEDIOのウルトラライトフォークも、値段がより安い分、気になってしまった。

一層のこと、更に繊維のグレードを上げて軽くし、ヘッド剛性もあげることで、ツールやジロなどの、本格的なステージレース向けのロードバイクに進化させても良いのでは無いだろうか。 そして、ヴィーナスをより短距離の国内レース向けとすれば、バランスが取れるのでは。


カンパVSシマノ
さて、最後になるが、今年はスーパーレコード、コーラス、アテナ、6700系アルテグラ、5700系105と多種多様なコンポを使用できたが、やはり、105の高性能に一番驚かされた。
これまでアルテグラが、日本で買うには一番コストパフォーマンスが高いと信じていたが、しかし、105があそこまで高性能だと、105が一番コストパフォーマンスが高いのでは無いか、と思う。
アルテグラは、電動の登場に期待したい(6870or6770 Di2と言う噂だが…)。電動なら、握りづらく、重いディアルコントロールレバーとおさらばでき、機械式の105などとは一気に使いやすさに差が出る。 変速の早さも格別だ(少なくともデュラエース7970Di2は別格では無いか!)。

一方、カンパと比べると、変速やブレーキをしている感じが希薄でつまらない。レースで使うならそれもよいだろうし、少なくても日本ではリペアパーツの多さや、製品自体の耐久性の高さから、シマノの方を買いたくはなるが、しかし、趣味でやる分には、明らかにカンパの方が楽しいだろう。
実際、スーパーレコードとアテナを比べても、アテナでさえ、カンパらしいフィーリングはあり(但し、おそらく2010年モデル)、趣味でやる分には変速性能もこの程度で良いだろう。そう考えると、趣味でロードをやる分には、アテナのコストパフォーマンスが非常に高い、と感じた。

ただ、個人的には電動アルテグラを待ちたい(今のディアルコントロールレバーの形状が、確かに改良されたとはいえ、嫌い。ただ7970Di2はフィットした)。

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