サイクルモード2009

今年も、サイクルモード、行ってきました。去年と比べ、大幅に人が増えた気がします。そして、試乗コースはより長くなり、気持ちよく乗れた反面、やけにロードレーサーの人気が高く、試乗コースは常に渋滞気味。2車線を「すいすい」と「ゆっくり」に分けている箇所もあったが、「すいすい」の方も時折ものすごくスローペースになっていた。

それでは、今年乗った車種のインプレッション。今年は特に、“最上級のアルミと上級~最上級のカーボンはどう違うのか”を、主に考えながら試乗しました。
○ペンナローナ ACRUX
この自転車は2005年のCICLISMO BIKE of the YEARに輝いた、ということで、結構期待していた。そして、オートクレーブ製法を用いていることから、カーボンの繊維自体の性能を結構出し切っているのでは無いか、という期待も抱いていた。

結果は、上々。もちろんこれがカーボンフレームの最高性能とは思わないが、踏めばよく進む、所謂古典的なロードレーサーの味。個人的な好み。そして、振動の減衰も早く、快適。
僕のCASATI Vinci(BBはホーローテックⅡに換装済み)と比べると、やはり、カーボンらしく、足にやさしい印象。そして、ある程度軽いが、登坂性能もよい。もちろん、中間加速もよく、高速域も試して見たいと思った。

部品はDURA-ACE7900とキシリウムだったが、デュラエースは正確無比な変速で、キシリウムはとてもよく進み、剛性もちょうどよい。フレームとのマッチングもよい。この構成でレースで使えれば、結構楽しめると思う。

〈余談〉
さすがに、イタリア製らしく、見た目は非常に美しかった。色もデュラエース7900とはマッチングがよい。

○BMC SLC01
本当は、SLRに乗りたかったのだが、残念ながら初日に故障したそうで、こっちに乗ることにした。

以前、サイクルスポーツのインプレッションで“適度にしなやかで乗りやすい”“グランフォルドにも向いている”“トライアスロンにもよいのでは”などと書かれていたが、確かにそうだ。非常に乗り心地がよく、かつ中間加速もよい。中間加速の性能自体はACRUXとほとんど変わらない。

しかし、ホイールがDURA-ACEだったこともあるかもしれないが、印象が薄い。しかし、乗り心地がよいのでロングライドや、長距離のレース、過酷なレースになるほど、そのよさが現れると思う。レースの最後に勝負をかけたくなることはよくあると思うが、しっかり体力が温存できるのでそういう走りにこの自転車は向いていると思う。ただ、絶対的な楽しさは少ない。

しかし、もう登場から何年も立っているのに、この性能が出ているのはすごいと思う。BMCの進化を見るために、やっぱり、SLRにも乗りたかった。

〈追記〉
個人的には、ハンドルがややクイック過ぎると感じた。もう少し直進安定性がほしい。

○Avedio Bacchus
あえて、Venusではなくアルミのこっちを選んだ。なぜなら、本当にカーボンの性能がすばらしいか試したかったからである。本音を言わせてもらうと、これまでの2台や、それまでに乗ったカーボンフレームを思い出して見ても、振動吸収性以外で、最上級のアルミに勝っている、と思ったことは無かった。だから、フルカーボンフレームに乗った直後に、ある程度こだわりをもっているアルミフレームに乗ろうと思ったのだ(ちょうど試乗車が空いていた、ということもあるが)。

さて、このフレームに使われているアルミは7005アルミ。中級クラスのアルミである。 フレームの外観はCASATI Vinciと非常によく似ている。Vinciは7003アルミだが、やはり、似た素材の性能を引き出すためには、似た形状になってしまうのだろう。

さて、乗り込んで、まず初期加速、渋滞を経て中間加速、途中途中で振動減衰性や登坂性能を試した。初期加速は、アルミらしく重い。やはり硬いのだ。そして中間加速に移る。Vinciや他のアルミフレームでも感じることだが、とにかく良いアルミは中間加速が伸びるのだ。 そして、その伸び具合は前に乗った2車種とほとんど変わらない。登坂性能(つまり反応性)もそう。若干振動減衰性は低いが、許容範囲。

あれっ、カーボンって何がいいの!?ともう一度思った。しかし、もう少し乗ったときとき、アルミの弱点がついに発覚した。Vinciでも時折感じるのだが、必要以上に重いギアを踏むと一気に進まなくなる。壁を踏んでいるように感じるのだ。これまでVinciでは、僕の脚力が足りないからだ、と思っていた。だが、良く思い出すとこれまでの2台の試乗車は全くそんなことを感じず、どの速度域、どのギアからもスムーズに加速した。
そうか、これがアルミの弱点なのか。つまり、カーボンバイクの方が、性能を引き出しやすいのである。おそらく、レースではカーボンバイクの方が楽だろう。しかし、もちろん、脚力と体力があれば、アルミでも全く問題は無いと思う。性能的には、一部の最上級のカーボンを除き、まだカーボンがアルミを越えたとは思えない。更に、確実にコストパフォーマンスではアルミが上だ。

ともかく、これは大きな収穫だった。疑問が晴れた。ただ、このフレーム、この性能で134400円は安すぎる。

〈余談〉
実は、Avedioの担当者に、「カーボンに比べて、アルミはどこが劣っていますか?本音を聞かせてください。」と質問した。すると、Avedioの場合はカーボンモデルの方が、更にBBの剛性が高いが、それ以外に、アルミモデルには弱点らしい弱点が無いそうだ。サイクルモードくらいのチョイ乗りでは、ほとんど違いが分からない、ともおっしゃっていた。やっぱりそうか。

〈追記〉
このフレーム、フルアルミらしくなく、あまり乗り心地が悪いわけではなかった。レースで使う分には十分許容範囲だと思われる。ロングライドでも、100キロ程度ならまず大丈夫だろう。それを越える距離ならホイールやハンドル周りの部品で調整が必要、といったところでは無いだろうか。

○LOOK 595
さて、ここまで来たら、カーボンの最高到達地点を試さなければ、と思ってドグマを乗ろうとピナレロブースに入ったのだが、後一人のところで、試乗を打ち切られてしまった。そこで、辺りを見回したら、LOOKがあるではないか。サイクルスポーツで大石さんも菊池さんも絶賛したこのバイクを、ぜひ乗ろう、と思って試乗の列に並んだ。

結果は、感激。走り初めてすぐ、カーボンとは思えないほどの路面から突き上げを感じ、これはレースマシンだ、ということが良くわかった。 もちろん、振動減衰性はものすごく良く、つまり、路面の状況が分かりやすいため、最高のレーシングマシンだと思う。もちろん長距離でも快適に飛ばせると思う。

そして、乗りながら感じるのが、自転車に芯が入っているような独特の感触があること。どの速度域からも、トルクがかかりやすく、中間加速も非常によい。純粋なレーシングマシンである。しかも、ただのレーシングマシンではなく、とにかく走るのが楽しい。踏めば進むし、踏んでくれ、とフレームがせがんでいるような感触なのだ。そして、同じく踏んでくれ、とフレームがせがんでくるタイムと比べると、よりしなやかに進む。タイムが、より金属らしい味だとすれば、こっちはよりカーボンらしい(もちろん、どちらにせよ古典的な味である)。

久しぶりに感動した。いや、感激と言った方がよいかもしれない。やはり、サイクルスポーツのインプレにあったように、バランスがいい。595ウルトラもあるが、普通に使う分には標準の595の方が確実に良いのでは無いだろうか(ウルトラ仕様には乗ったことが無いが…)。これはすばらしい。やはり、最上級のカーボンを使っているだけある。これは、確実に買う価値のある自転車である。これを乗った後には、もう他のを乗ろうとは思わなかった。

〈追記〉
この試乗車のホイールはキシリウムだったが、良く進むホイールなので、相性は非常によかった。
そして、この試乗中に、運よく試乗コースがものすごく空いている場所があったので、危なく無い範囲で中速域を試すことができたが、非常に楽しかった。そして、高速域も試したいと思った。そして、峠を上って見たいとも…

★総評
今回乗った自転車は、どれもフレームに芯がある感じがありとてもよかった。そして、アルミとカーボンの違いが良くわかったのが今回の大きな収穫である。もう一度、その違いをまとめよう(アルミは最高級のもの、カーボンは上級以上のクラス)。
・同じところ、似ているところ
性能、中間加速→明らかにアルミの方がコストパフォーマンスが高い。
・違うところ
軽さ、扱いやすさ→やはり、アルミを乗りこなそうと思うと、ある程度の脚力と体力を要する。やはり、お金があったらカーボンである。

結局、上級クラスのカーボンは買う価値がある。初中級クラスはレース用ではなくロングライド用では無いか、というものが多いが、やはり、上級クラスのカーボンはそれらとはぜんぜん違う。しかし、まだまだ、アルミも性能的には健在だと思う。

そして、安いカーボンを買うなら、エヴァディオ バッカスのような、まじめに作ってあり、かつ走るバイクを買ったほうが絶対よい、と確信した。

それでは、近いうちにVinciの試乗記も書こうと思います。

〈追記〉
最近、自転車がブームだそうだし、実際に町で見かける事が増えたしかし
・道路の逆走
・一時停止をしない
・車がいないときは平気で、反対車線に斜めに横断し、逆走
・並走
・無灯火
などの、非常に危険な行為も良く見かける。やはり、自転車のマナーについても徹底的に周知させるべきでは無いだろうか。そして、道路整備も…

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