ロードバイクの接地感を上げる工夫(12/31追記)

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【グリップ力・グリップ感ともに高いタイヤを履く;Vittoria Corsa CXインプレ】
【空気圧を見直してみる-新型Corsaの場合】
【タイヤ幅を見直してみる】
【自転車の重心を下げてみる】
【接地感に注目したパーツを使ってみる;ナカガワ エンドワッシャーインプレ】
【アルミホイルチューニング(12/31追記)】
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接地感、というのは曖昧な言葉だが、インプレでよく使われる言葉でもある。路面の感触のとらえやすさ、安心感という意味だろう。

僕は、クライマーではないがクライマー体型で、体重があまり重くないため、この問題が非常にシビアに効いてくる。硬すぎるホイール、高すぎる空気圧では、はねてしまって接地感が得にくくなる。
そして、クロモリのオーダーフレームに乗っているため、カーボンホイールを履くと、重心が上がる為か、やはり接地感が乏しくなる。

極限まで攻めるロードレースにおいて、この接地感の有無は、密集した集団内でポジションを維持する際にものすごく効いてくる。今回は、特にチューブラーのカーボンホイールにおいて、如何に接地感を上げていくか、僕自身の工夫をまとめてみた。
ついでというわけでは無いが、 Vittoria Corsa CXとナカガワ エンドワッシャーのインプレも兼ねて記事とした。

【グリップ力・グリップ感ともに高いタイヤを履く;Vittoria Corsa CXインプレ】
(関連記事)
チューブラータイヤ各種インプレ
チューブレスタイヤ インプレまとめ(11/3,12/19,1/12追記)
チューブレスタイヤ インプレまとめvol.2



以前からタイヤにこだわっているので、関連記事の様に、様々なタイヤを使ってきたし、ここでインプレに挙げていない(多くは印象が悪かった)タイヤも多い。タイヤに求めるものは人それぞれだろうが、そのタイヤを使って安心か否かは、絶対的なグリップ力とは関係がない気がする。例えば、コンチネンタルのタイヤは絶対的なグリップ力は高いが、硬めのため、僕の体重ではグリップしている感じがない(決してコンチネンタルを批判しているわけでは無い。体重がある一定の重さを超える知り合いはみなコンチネンタルを絶賛しているし、僕自身、唯一コンパウンドが柔らかめなコンペティションは気に入っている)。このグリップしている感じ、というのはあいまいな概念だが、グリップ感、とよく雑誌とかで言われるものだろう。実際、IRCの実験では、スリックタイヤの方がパターンが入っているタイヤよりグリップ力が高いそうだが、プロはパターンが入っている方が、限界を感じ取り易く、好まれるそうだ
グリップ力・グリップ感双方が高いタイヤとなると、個人的にはチューブレスタイヤ一択である。多くのメーカーで絶対的なグリップ力が極めて高く、その影響かグリップしている感じが伝わってくる。

とはいえ、決戦用タイヤとしては未だにチューブラーが多いだろうと思うので、今回は、最近良いと感じた、Vittoriaの新型コルサをインプレしたい。旧型コルサも以前インプレしたが、グリップ感が極めて高いタイヤだった。グリップ力はチューブレスや一部のクリンチャーに劣る感じはしたが、新型は一味違った。
コルサはグラフェンという新素材の採用と4コンパウンドの採用が大きな特徴だろう。トリプルコンパウンドまではあるが、4つのコンパウンドを使い分けるというのは驚きである。そして、使ってみてまず驚くのは、転がり抵抗の軽さ。コンパウンドを分けることによってセンターにかなり転がり抵抗が低いコンパウンドを使えるのだろう。
感触としては旧型コルサよりコシがあるというか、張りがある感じ。悪く言えば固い。でも、倒していくと、4つのコンパウンドを使っているとは思えないナチュラルなコーナリングで、体重が軽い僕でも、十分なグリップ感が味わえる。
確かに乗り心地は旧型より硬めだが、十分許容範囲内である。相変わらず空気圧の調整範囲は広いので、低圧気味にすれば問題はない。
そして、雨天グリップは確実に上がっている。雨のレースを何度か走ったが、全く滑る気配を見せない。雨の修善寺での75㎞/hを超えるコーナリングでも全く問題なかった。
更に、耐久性は間違いなく上がっていると思う。全然コンパウンドが削れている感じがせず、また1年弱使い続けているが、グリップ力が下がった感じはない。もちろん決戦用としての使用なので、使用頻度は低いが、それでも感触を確かめるために、時折練習でも使ったので、合計数千キロは使っているはずだ。

こういうタイヤはレースでかなり武器になると思う。

【空気圧を見直してみる-新型Corsaの場合】

空気圧というのはシビアに感じるタイヤとそうでないタイヤがある。特にしなやかなタイヤの場合コンマ数気圧の差でも全然感触が違う。特に体重が軽い選手の場合、しなやかなタイヤを使うことになるので、気になるところだろう。
多くの場合、タイヤの推奨空気圧は決まっているし、一部のメーカーではタイヤの銘柄に合わせて体重に合わせた推奨空気圧を出していることは言うまでもないだろう。
しかし、体重が軽いせいか、僕の場合特に海外メーカーにおいて推奨空気圧の下限でも硬く感じることがある。その為、推奨空気圧をやや下回る空気圧に設定することがあるのだが、推奨空気圧の範囲内・範囲外に関わらず、チューブラーの場合クリンチャーと比べて、下げれば下げるほど接地感が上がる傾向がより少ないということに気付いた。
クリンチャーの場合、タイヤ自体の剛性があるので、空気圧を下げたほうが良い感じに路面をとらえてくれるが、チューブラーの場合はタイヤ自体の剛性が低いので、下げすぎるとタイヤ自体の変形が大きくなりすぎる傾向にあると感じる。もちろん推奨空気圧より大幅に低くした場合はどちらも大差ないし、むしろクリンチャーの方が危険ではあるが。

特に、上で挙げたvittoriaはかなりしなやかなので、空気圧を下げすぎると、タイヤがしなりすぎて不安定になる。そして、先代よりしなやかさの度合いが少なくなった新型Corsaでは、むしろ普段より高圧にしたほうが接地感が上がる傾向があることに気付いた。逆に言えば、高圧にしてもあまり跳ねない。 
当たり前の結論だが、タイヤの空気圧と接地感の間には密接な関係があるといえる。

【タイヤ幅を見直してみる】

最近は幅の広いタイヤが主流である。確かに、タイヤの幅を広げると転がり抵抗が少ない気がする。
しかし、これはクリンチャーからチューブレスに移行した際にも注意することであるが、空気圧の設定範囲が下に広がる、という事である。つまり、エアボリュームが多いので、空気圧を下げても十分軽い転がりを実現でき、その結果空気圧を下げることでグリップ力や振動吸収性を上げられる、という事である。
ここで注意しないといけないのが、23Cでも体重の関係で空気圧を推奨空気圧の下限に設定している人が25Cを使う意味があるのか。結論を言うと、少なくとも僕はないと感じた。
結局23Cと25Cでタイヤの推奨空気圧の関係で、ほぼ同じ空気圧に設定することになる。もちろん、それより下を試したこともあるが、少なくともチューブラーではタイヤが変形しすぎてしまい、不安定になる。
その際、確かにエアボリュームの関係か、振動吸収性は高いし転がり抵抗も少ないものの、接地感は悪い。何というかタイヤと路面の間にもう一枚シートを引いている感じ。ダイレクト感が少ないのだ。
もちろん、悪路を走る際はエアボリュームの多さの影響が効いてくるのだろうが、それでも、結局接地感がないと安心してスピードを上げられない。
個人的な結論としては、石畳のようなところを走るのでなければ、敢えて23Cという選択もありなのではないかと思う。体重が重い人には当てはまらないだろうが、体重が軽い人にはぜひ参考にして頂きたい。

目安として、体重60kg弱の僕と、70kg弱の友人で、全く同じボーラ35に新型Corsaの23Cと25Cを履かせて、それぞれ8気圧と7気圧にセットして乗り比べたところ、空気圧が高いにもかかわらず僕は前者の方が好印象で、友人は後者の方が好印象だった。具体的に僕は接地感のダイレクトさにメリットを感じ、友人はグリップ感の良さにメリットを感じていた。参考になれば幸いである。

【自転車の重心を下げてみる】
(関連記事)
Selle Italia Flite Kit carbonio Flowインプレ

理論上、乗り物の重心は低い方が安定感は増すはずである。一方で、フレームの軽量化、クランクの軽量化、ホイールの軽量化により、乗る人との体重のバランスで、自転車の重心は上がる一方であると考えられる。
自転車の場合、軽量化しやすい部位は決まっていて、ホイールやクランクなど、もともと重量がある部分は、重いグレードと軽いグレードで差が出るので、軽量化しやすい。
僕の場合、例えば
ユーラス;実測値 636g+848g
ボーラ;実測値 486g+700g
とホイールを変えたところ明らかに重心が上がった感じがして、接地感が下がった。それを取り返すために、
ステム deda zero100 team(126g, 110mm)→fizik cyrano R1(128g, 110mm)
ハンドル deda zero100 shallow(254g, deep 420mm)→fizik cyrano R3 snake(245g, 420mm)
サドル selle italia flite friction free flow(205g)→selle italia flite kitcarbonio flow(170g)
シートポスト deda zero100(259g, 31.6mm)→ fizik cyrano R1(200g, 330mm, 31.6mm)
(いずれもカタログ値)
と軽量化したが(実測値ではないがどちらにせよ少なくともサドルとシートポストは軽量にはなっているはずである)、自転車の上にあるものとはいえ、重量の差が小さい為、それによる接地感の向上はあまり感じられなかった。ただ、ふりは軽くなったので自転車上部のパーツの軽量化は運動性能向上に間違いなく寄与はすると思う。今、軽量化しようとすればいくらでも軽量化できるので、重量バランスを考えたパーツ選び、というのも意外と大切かも知れないと思う。

【接地感に注目したパーツを使ってみる;ナカガワ エンドワッシャーインプレ】

これは非常に不思議なパーツである。クイックとエンドの間に挟むだけの簡易なパーツなのに、使うと何かが変わる。エンド幅の関係でフロントのみ使ったのだが、特に自転車を横に倒した時の接地感が変わる。何というかスポークが増えた時と同じような感じで、スポークとスポークの間の、接地感が途切れる部分の、ロードインフォメーションの連続性が上がる感じがある。
機材に敏感ではない人はもしかしたらあまり感じられないかもしれないが、機材の差に敏感な人は間違いなく気づくレベル。
ただし、若干振動も増える。とはいえ、接地感が上がる為、不快ではない。少し空気圧を下げるとちょうど良くなり、その効果と相まってしっかり路面をとらえてくれるようになる。

スルーアクスル化したのと同じ効果、というが確かに剛性が上がっている感じがする。また、クイックの締め付けもいつもより強くできる感じがある。
数値で測るとどの程度変わるのかわからないが、ともかく”接地感”に悩んでいるライダーにはお勧めできるパーツである。

【アルミホイルチューニング(12/31追記)】

車の世界で一時期話題になったアルミテープチューニング。 空力の改善につながるため操縦安定性が向上するという、一見眉唾なチューニングだが、自転車でも導入しているという話をいくつかのブログで読んで、実際に試してみることにした。
僕の自転車の場合、金属フレームで絶縁体の部分がフロントフォークとカーボンハンドルだけなので、ひとまずフロントフォークとハンドルの裏にアルミテープを貼ってみた。
テープはヨドバシで導電性に優れていると宣伝している耐候性の製品を購入
実走してみたところ、驚きを禁じ得なかった。正直、信じてもらえる自信はないし、気のせいかもしれないが、確かに走りが滑らかな気がする。フロントが安定しているというよりも、衝撃の角が丸くなったような感触で、自転車がスムースに、そしてまっすぐ進む感触が強くなった。もし本当に空力も改善しているとしたらUCIルールに引っかかるんじゃないかとすら思ってしまう。
仮にこのブログを読んで、実際に実験してみて、効果がないとクレームを頂いても、一切責任は取れないが、安価で簡単で興味深いチューニングとして、紹介させて頂いた。

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