よく進むロードバイクにするには―パーツ考 3.フュージョン3のメリットは?⑤

(前の記事から続いています)

山梨県某所にて。カメラが悪いせいで、解像度がひどいですね。一応、アトムはいてます。

[ハッチンソン アトム(HUTCHINSON ATOM TUBELESS)]
意外と、ネット上にインプレが見当たらない、ハッチンソン アトム チューブレス。重量が軽いチューブレス、というのは、一つの理想形と思われるが、結論から言うと、確かに良い。ドライ向け、等といわれているが、ウエットも使える、まぎれもない、決戦用タイヤと思う。

チューブレスの転がり抵抗の少なさと、重量の軽さから、走りは非常に軽い。フュージョン3から乗り換えて、そう思うのだから、かなりのレベルだろう。それでいて、乗り心地は、フュージョン3より、若干固い程度。長距離を走っても、若干疲れが多いはするものの、クリンチャーと比べれば、はるかに良い。

一方、グリップも良い。絶対的なグリップ力の差は、少なくとも、ドライでは、フュージョン3との差は見いだせなかった。グリップ感が良い分、むしろアトムの方が攻められる。フュージョン3の、なんだか接地感が希薄な感じは、あまりない(希薄といっても、かなりレベルの高い話だが)。かなりの高速コーナーでも不安はなく、まだ、ウエットな路面でも、十分グリップした。雨の日の、足柄峠を上ったが、上りでも、全然スリップしなかったし、静岡側の、ところどころ水たまりがある下りでも、かなりのスピードで駆け抜けることができた。

ただ、オーバースピードでカーブに突入しても、ブレーキができるほどのグリップなので、ある意味で、危険かもしれない。一時期、僕自身、下りのテクニックが落ちてしまった。何しろ、最短経路でルートをとり、曲がりきれないときは当て効きする、という危険な下り方の方が、カーブによっては、速いのだ(絶対真似しないでください!危険です。)。

ともかく、そのくらい能力が高い、最強タイヤであった。耐パンク性能も極めて高く、3000㎞位乗ったが、まったくパンクなし、グリップ力も、まだまだ十分良い、というわけで、フュージョン3と同じく、かなり耐久性、耐パンク性は高そうだ。

[結論]
全体的に、絶賛してしまったから、少し厳しいことを言うと、総合的には、カーボンホイール+高級チューブラーの方が上だ(中華カーボン+コンチネンタル コンペティションの組み合わせと比較。ちなみに、以前チューブレスを使っていた知人も、カーボンホイール+ビットリア コルサエヴォの方が良いと言っていたから、この印象は、あながち間違いではないだろうと思う)。 しかし、耐久性や値段まで考慮すると、そして、何となく気持ちの問題で、普段使いから、レースまですべて使うなら、高級アルミホイール+チューブレスの方が上だ。要は、すべて一本で賄いたいなら、チューブレス、決戦用を別に用意する、もしくは、ホイールを組んで、整備する技術があるなら、カーボンホイール+チューブラーの方が良いだろう。今は、カーボンリムも結構手に入る時代だから、耐久性を重視した組み方をするなら、アルミにこだわることはないだろう(耐久性を重視したリムだって、アルミの上級モデルより軽いし、タイヤを含めた総合的なリム重量は、かなり軽い。もう一つ言えば、最近練習でもFFWDやボーラワンを使っている人が多い気がするし、場所によっては、ZIPPなんかを練習で使っている人もいることから、カーボンホイールの耐久性についても、以前ほど気にする必要はないのではなかろうか)。決戦用としては、カーボンの方が、明らかに良いだろう(軽いし、剛性も高いし、今は、ブレーキだって、シューにこだわれば、アルミ以上に効く)。ただ、もちろん、整備の楽さを考えると、当然チューブレスだ(特にチューブラーの場合、良く乗る人を除けば、リムセメントorリムテープの寿命、という面倒な問題の被害にあう)。

あと、もう一つ言っておくと、過度な期待はしないほうが良い。これまで、最高級クラスのクリンチャーとインナーチューブを使っていた人の場合、フィーリングの問題で、クリンチャーの方が良い、という結論に達するかもしれない。また、耐パンク性についてだが、僕自身はミシュランのクリンチャー+R'airを使っていたときは何度かパンクしたが、コンチネンタルのクリンチャーに変えてから、チューブレスを経て、チューブラーに至った、ここ2年間、約1万キロは一度もしていない一方、チューブレスなのにパンクした、というインプレもちらほら見られることから、運や、道路状況によっては、パンクすることも十分あり得るわけで、その際はクリンチャーの方が有利だろう。少なくとも僕は、重さを考えると、とてもシーラントを入れようとは思えない。よくパンクする人や、走行距離が多い人は、クリンチャーの方が良いかもしれない(チューブレスの場合、空気の保持性という観点から、前後のローテーションや、練習とレースでタイヤを履きかえることは、ほぼ考えられないし、修理すればするほど、性能面のメリットが小さくなるだろう)。

そういうわけで、チューブラーにするか、チューブレスにするか、クリンチャーにするか、という選択は、そのホイールとタイヤをどういう目的で使うのか、そして、ホイールを何本維持できるか、ということを慎重に考えた上でおこなわねばならないだろう。そういった意味で、必ずしも、チューブレスを絶賛するわけにはいかない。タイヤ単体での性能は確かに良いが、ホイールも含めて考えると、なかなか難しい問題だ。

(フュージョン3のメリットは? 完)

(4.総括に続く)

fusion3とatomの長期使用レポートをアップしました

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