よく進むロードバイクにするには―パーツ考 2.フルクラムクランクの真実④

(前の記事から続いています)


[カーボンクランクのメリットは?②-振動考]
今度こそ、本当の本題に戻ろう。

さて、カーボンクランクに、振動面でのメリットはあるだろうか。正直、目隠しでチョイ乗りしたら、違いは分からないだろう。剛性も十分あり、力強く回せるからだ。しかし、長距離を走ると明らかに違う。僕の場合は、100㎞以上走ると、違いが実感できた。走り終わった後の、足の筋肉の、刺すような痛み、しびれが明らかに減っているのだ。足の裏の痺れも明らかに少ない。そして、ふくらはぎが攣りそうになる事も減った。

余談だが、シューズをスペシャの安いモデルから、SIDIの上位モデルに変えたら、ソールの剛性から、少し、しびれるような痛みが復活した。しかし、攣ることは意外となく、疲れもすぐ抜ける。逆に、硬くて、力強く踏め、気持ち良い。そのことから、実は、剛性が高くても、微振動がなければ、意外と体への負担は少ないのでは、と思っている。

個人的に、3年前、フレームをクロモリからアルミに変えた時、短距離でも、肩や足に振動が来て、走行中にしびれを感じた。しかし、剛性から来る踏み込みやすさは明らかで、どうにかしてその振動を減らそうと思い、その経験がこの記事につながっている。具体的には、先述のように、タイヤやインナーチューブを変えることで、肩の痺れの緩和に成功した。そして、チューブレスタイヤにより、振動面でのデメリットは、ほぼ皆無になった(逆に、クリンチャーホイールをはいた知り合いのカーボンフレームの方が、振動を感じられたほどだ)。そして、今回、足の痺れもクランクの交換で低減したし、アルミフレームの最大の弱点だった、上りで体が負ける、という症状も、若干緩和された気がする(それでも、ダンシングより、シッティングで回した方が進むのは間違いない。あと、この症状の緩和は、パワーの増大も影響している)。このような特性は、長距離の後半で、差を生むだろう。

僕は、金属フレームの力強い加速が好きだ。しかし、振動特性では、カーボンにかなわない。これは、どうしても認めざるを得ない。しかし、こうやってパーツをいじれば、金属だって十分カーボンと闘えるだろうし、機材の差で不利になる可能性が減るだろう(重量以外は)。

アルミでも、 CAAD10やALLEZの上位モデル、AVADIO bacchusなど、戦闘力があるモデルがまだまだ残っている。正直、これらのフレームにパワー計をつけてトレーニングをした方が、同じ値段でカーボンフレームに乗るより、結果的に速く走れるのではないだろうか。もちろん、振動対策を入念にしたうえで。

アルミフレーム好きとしては、今回のクランク交換は、大成功だったと思っている。

(フルクラムクランクの真実 完)

(3.フュージョン3のメリットは?に続く)

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