UCI Gran Fondo World Championship@poznan参戦記(2020/1/30追記) + TTのすゝめ

ちょっと長ったらしいタイトルだが、パース以来3年ぶりとなるグランフォンド世界選手権参戦記と、社会人レーサーがTTを狙うメリット、といった内容を記事にした。

UCI Gran Fondo World Seriesに関しては以前の投稿をご覧ください。
グランフォンド世界選手権@パース 参戦記 UGFWS Bathurst Cycling Classic B2B 参戦記

ポーランドの石畳 ※実際のコースではありません!

ニセコクラシック TT
 まずは2019年から正式にUGFWSに組み込まれたニセコクラシック TT。2019年は13.8㎞、2020年は15㎞と若干延長されるようだが、コースマップ的にはほとんど変わらないので軽くコメントさせて頂くと、競技時間としては20分前後(今年はトップが18~19分台)、コースプロフィールとしてはアップダウンとコーナーの連続、といった形。基本的にはNPと平均パワーが乖離するタイプのコースなので、パワーがある人に有利だろうが、トップスピードが高いコースではないので、TTスペシャリストというよりはパンチャー向けに思えた。短時間勝負なので、しっかり試走して、極力コーナーで無駄な動きをしないことが大切に感じた。実際、僕自身の反省点として、夕方の試走だったためパンクが怖く、前後ディープリムで試走し、本番でいきなりディスクホイールを使ったところ、コーナーでの減速度合いの違いに対応できず、無駄なブレーキングをしてしまった。道幅が狭いコーナーも多いので、そういう一つ一つの無駄が大きなロスにつながっている気がした。
レースが朝早いのがちょっとつらいが、国内では貴重な公道TTで、コースプロフィールもダイナミックなので、TT好きにとっては目標になりうるレースの一つになると思われる。
一点だけ苦言を呈すると、金曜にフルタイムで仕事してから参加できるよう、遅めの時間スタートにしていただければなおよい。
神威岬を観光!
 【ポーランド入り】
閑話休題。無事ニセコで世界選手権出場資格を得て、本番2日前にポーランド入り。今回はpoznanというやや田舎の町。ポーランドは短期間で観光目的の滞在であればビザが不要なので、事前に用意したのは国際免許だけ。あとはパスポートの有効期限に気を付ける程度だろうか。ちなみに、滞在中、ほとんどの場面でクレジットカードが使えたので、念のため換金したお金はほぼ使わずに済んだ。
まずは乗継で立ち寄ったワルシャワ空港で腹ごしらえ。
物価は安めで味もおいしく、上々の滑り出しであった。

そこからはプロペラ機でpoznan空港へ。今回の開催地であるpoznanはポーランド航空、ルフトハンザ航空などでワルシャワやミュンヘン経由で乗り継ぐのが最もアクセスしやすく、選手によっては途中から陸路、という人もいた。実際、乗継便では大型荷物の事前予約が必要だったし、予約していてもロストバゲージしている人がいたので、大空港まで飛行機で行き、そこからは陸路、というのもよい選択かもしれない。
ホテルはいつも通りエクスペディアで安く確保し、レンタカーは地元のレンタカー会社であるCAR NETというところにお願いした。ポーランドは田舎の方に行くと英語が通じない場面もあったが、基本的には英語が通じるので、こういう地元の会社にお願いしても全く問題はなく、Hertzのような大手と比べて半額くらいの値段で確保できた。なお、保険に関してはRentalCover.comにお願いした。日本語対応だし、何かあった時にレンタカー会社の保険とは別の保険の方が戦ってくれるかな、と考えてお願いすることにした。
話は前後するが、海外のレンタカー会社は往々にして国内のレンタカーと比べ、傷に厳しいが、今回も、覚えのない傷を請求され、恐らく未舗装路などを走った影響だろうとは思ったが、フルカバーの保険に加入したこともあり、保険会社にお願いしたらしっかり保証してくれた。保険会社も当然細かいところまで突っ込んでくるので、書類をそろえるのが大変だったが、結果オーライであった。
今回はプール・庭がある大きいホテル

レンタカーはベンツのGLA。TTバイク二台、大人二人で全く問題なかった。
【現地での食事】
やはり、選手にとって食事と睡眠環境はコンディション維持に大事なファクターだと思うが、うれしいことにポーランドは基本的に食事がおいしく、健康的であったのは選手にとって非常に好ましかった。
ホテルに関してはバイキング形式だったのでバランスよく栄養が摂取でき非常に良かった。



一方、ホテル以外でもカフェなどで、パスタや新鮮な野菜を食べられ、食事の環境としては非常に良かった。



それもそのはず、レース後に観光したら、市場で新鮮な野菜や肉を売っており、これは食事がおいしいと納得。ちなみに写真はpoznanではなく、ワルシャワのHala Mirowska



なお、レース後はついジャンクフードを食べるわけだが、こちらもアメリカほどは量が多くなく、丁度良かった。もちろん日本よりは多いが。ちなみに、街中で食べたケバブもとても美味だった。

【機材トラブル】
せっかくなので機材トラブルの話も。今回オーストリッチの飛行機用の輪行袋であったが、途中大揺れした区間があった&54Tなので輪行袋がぎりぎりのサイズだった、という悪い事態が重なってしまい、チェーンリングが曲がってしまった。後述する前日の試走の際にフロントが勝手に変速したことで気が付いた。
そんなわけでgoogle mapで地元の自転車店を探していくつも訪問したが、当然54Tのチェーンリングを在庫しているところなどない。
頭を抱えていたら、最後に訪問した、地元で非常に有名(らしい)自転車店で、曲げればよくない?と提案され、ペンチで曲げたうえでハンマーでたたいて応急処置して頂いた。これで問題なく走れるように。本当に助かったし、自転車店の店主には感謝してもしきれない。そして、このお店を教えて下さったPeaks Coaching Group Japanの南部コーチにも感謝。
 ちなみに、Velo 7というお店。こじんまりとしているが小ぎれいで良い店だった。

【レース!】
肝心のレース。前日に受付でき、当日朝に試走時間、午前中から競技開始、というスケジュール。
受付について追記しておくと、前回はJCFの国内ライセンスで全く問題なかったが、今回はUCI codeを求められたので、国際ライセンスを取得しておいた方が良いかもしれない。もちろん、事情を説明したら問題なく受付できたが、リザルトでもUCI codeが書かれていない選手はわずかだったし、そもそもこんなところでめんどくさいトラブルに巻き込まれたくない(2020/1/30追記)。
さて、閑話休題。今回TTは郊外だったこともあり、ほとんど交通量がなかったので前日も多くの選手が試走していた。
たまたま受け付けで昨年のチャンピオンに遭遇し、お願いして写真を撮らせて頂いた。
そんなわけで受付後は試走へ!基本は平坦だったが、砂が浮いたコーナーあり、荒れた路面あり、横風区間・向かい風区間あり、と日本人泣かせのコースであった。こういうレースで走れるようになったら、色々な意味で強くなれるんだろうな、と感じた。
結局、3年前のオーストラリアもそうだったが、とにかくパワーをつけるしかない。ただ、一点だけ光明があるとすれば、パワートレーニングを継続したことで、当時の26/27位から39/44位と、少なくとも退化はしていないし、ヨーロッパのレースということでよりレベルが上がっていることを考えると、多少は進化できている。当時はロードをメインにしていたため、ロードバイクにDHバーをポン付けするだけだったが、今回はTTバイクを持ち込んだのが良かったのだと思う。TTに出るならTTに集中した方が良いだろう。実際、今回、下位の選手は大体エアロロードにDHバーをつけただけ、場合によっては前後ディープリム、という装備であった。
こういう、とにかくパワーが求められるレースというのはなかなか日本にはなく(出場はしていないが、話に聞く限り2019年の全日本選手権なんかがこのタイプのコースだろうか)、対策が難しい面もあるが、パワーメーターを使ったトレーニング管理で地道に近づける気もしたので、最初からあきらめる必要はないと個人的には感じる。この点は後述する。

さて、レース後はホテルのプールでクールダウン。順位的には当然悔しさの方が大きいが、出し切ったことで清々しい気分であった。
【TTのすゝめ】
一時期、国内でもホビーのTTレースが若干増えた時期があったが、最近また減ってきた印象があるので、敢えて、TTのすゝめという項を設けさせて頂いた。
というのも、個人的に忙しい社会人にとって、TTを中心に自転車競技を継続する、というのは選択肢の一つになりうるのではないか、と感じているからである。
まず、TTのメリットとしては競技時間が短い、クロストレーニングが有効、という点がある。前者に関しては、練習時間が確保できない社会人にとっては有利に働くし、後者に関しては、筋トレやファンクショナルトレーニングのようなものがロードレース以上に役立つことを考えると、隙間時間にトレーニングを継続できるという点で、やはり社会人にとって有利に働く。
次に、機材・フォームにこだわる楽しさというのがある。ロードレースだと、機材による差を感じる場面というのはあまりないが、TTの場合、単独で走るということもあり、機材やフォームの差をロードレースより感じやすい(と言いつつ、僕自身は機材にはほとんどお金をかけていないが)。そして、そういう細かい修正の積み重ねが結果につながるので、ある意味、伸びしろが多い分、やりがいがある。
一方、デメリットは、基本的に個人競技になってしまうことだろう。ロードレースのような他人と競う楽しさが競技中感じられないのは大きなデメリットだと思う。
とはいえ、TTの場合、競技時間が短い分、例えば遠征の時は自転車以外の時間が取りやすいというメリットもあり、観光なども楽しめる。そういうことを総合的に考えると、TTというのは、特に今回のような長距離遠征の際も満足度が高い種目ではないかと感じる。
また、プロレベルでは世界と日本の差が極めて大きいが、アマチュアレベルではそこまででもない気がする。実際、今回日本人トップの選手は年代別で真ん中くらいの順位に入っていたし、総合も上位2割位には入っていた。僕自身も日本人二番目で、総合順位では真ん中よりやや下程度と、全然最下位レベルではなかった。細かいところを煮詰め、パワーをもっともっと上げていけば、まだまだ順位は上げられると思うし、Gran Fondo World Championshipのロードの方みたいに、国内トップレベルのアマチュアレーサーが参戦するようになれば、もう少し上の順位を狙える気はする。

【観光】
というわけで、観光の記録を写真を中心に供覧して筆をおきたい。
街中のおしゃれなカフェ

本場の石畳

サイクリストにはなじみ深いCCCのショップ

現地のショッピングセンター

Old Zoo

街中で見つけたバイオリン工房

旧市場広場

Independence Museum of the Greater Poland Province

National Museum in Poznan

街中で見つけたアート
今回はトランジットが8時間程度あったので、ワルシャワの街も観光した。移動は基本的にUberとタクシーを利用した。
ワルシャワ旧市街・歴史地区

ワルシャワ旧市街

おしゃれなCafé

珈琲を頂く

街中で見つけたおしゃれな建物

Fryderyk Chopin Museum

Fryderyk Chopin Museum
今回は土日も含めて4泊5日の日程で、1日は試走+受付、1日は試合であったが、後ろに二日間観光する日を確保でき、しかもpoznanに加え、トランジットで立ち寄ったワルシャワも短時間ながら観光でき、とても充実した旅となった。
もちろん自転車も楽しいが、自転車だけでない、旅行としての楽しさも追及できた、とても有意義な遠征だった。
世界選手権は毎年別の場所での開催なので、来年もまた出場を狙いたいと思った。

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