(機材をいじることで速くなれるかを考える記事です)
リンク:〈0.はじめに〉
一応、前の記事とつながっています。
よく進むロードバイクにするには、というテーマで、いろいろと書いてきたわけだが、じゃあ、フレームが違うとどうなのか、という疑問も出てくる。これまで、サイクルモードや、ショップの試乗会、知り合いのバイク、等いろいろ乗ってきたが、丁度、今回の記事の趣旨が、開発方針に含まれている(と雑誌の開発者取材記事などから判断できる)バイクに乗ったので、インプレを書くことにした。
具体的には
・CANNONDALE SUPERSIX EVO
・TREK MADONE 6 (パーツ構成から判断して、ショップのオリジナルと考えられる)
の二台だ(MADONE 7があれば乗りたかった…)。
試乗、という行為について、前の記事でいろいろと書いたが、 今回は、①スピードが出せる公道(幹線道路)で②軽いアップダウンがあり③自分のペダルを使うことが可能で④フレームサイズがぴったりで⑤ちょうど人がいなくて、20分程度乗ってよいと言われた、等かなり好条件だったため、このように記事にすることにした。もちろんボトルも持って、かなりハイペースで踏んでいった。
・スーパーシックス エヴォ
これはデュラエース仕様だったが、恐らく 2012年モデルで(したがって、7900系)ほぼ完成車と同じ仕様だった(ホイールがキシリウムSRで、サドルがフィジークのアンタレスだったので、これらのみ完成車と違うか?)。
ともかく、このスーパーシックス エヴォは
・軽量、高剛性
という、まさにカーボンのメリットを最大限に生かした正統派であり、また
・乗り心地へのこだわり
という点では、まさに僕がこれまで求めてきたことを重視しているフレームである(だから正直、出た時から欲しいと思っていた)。 さらに言えば、ジオメトリーも正統派だし、形も奇をてらっておらず(だから、かなり好み)、その上で、性能は、現時点で最高峰の一つと考えてよいわけだから、じっくり試乗させてもらった。
試乗車は、先述の通り、完成車に近いパーツ構成で、キシリウムSR、ハンドル・ステム・シートポストはFSAのカーボン、という感じで、振動対策と、剛性へのこだわりが感じられる。
乗り始め、大きな感動は感じなかった。ということは、短距離のレースよりも、長距離のレースの方が、その良さが生きてくるのだろう。というのも、踏み込んで、強烈に気持ち良いと、ついつい脚を使い切ってしまう可能性があるからだ。個人的には、例えば、ピナレロの上級モデルなど、気持ち良すぎて、長距離レースで足を残せる自信がない。念のため付け加えておくと、これは、ハンドルが高く、最初は、上半身をうまく使えなかったことも大きい(僕は、どうやら腕が長いようで、今のバイクも、大きめのフレームにあえて乗っている)。
しかし、緩い上りでじわじわ踏みこんでいったら、いろいろと見えてきた。まず、ハンドルの振りが圧倒的に軽い(ちなみに、僕のフレームも、フロントに軽量カーボンホイールを入れると、かなり振りが軽くなるので、振りの軽さは、フロントセクション全体の軽さとリンクしているのではないかと考えている)。重量の軽さは明らか。とはいえ、ホイールがしっかりしていたためか、すぐ慣れた。試していないが、超軽量の、やや剛性低めのカーボンホイールなんかを入れたら、かなり不安定になるのではないだろうか。
一応付け加えれば、別に、フレームが不安定はわけでは全くない。剛性は十分あるし、まっすぐ進むから、慣れれば問題ないだろうし、剛性が高いホイールとは、かなり相性が良いと感じた。
そして、一番好感を持ったのがスプリント能力。 発進時、そして、高速域からもう一踏み、という時に、車体が軽く、すっと目に出る。せいぜい900w台後半のスプリント力だが(体重が軽いので、、、と言い訳しておく)十分メリットが感じられた。意外にも、クリテリウムなど、スプリントが連続するレースでも、脚に優しく、活躍できるかもしれない。アルミの踏みごたえ、というのは、実は疲労の原因で、結果的にロスにつながるわけだから、こういう場面では、超高剛性のアルミより、このような、適度な剛性(もちろん低いわけではない)のカーボンの方が良いだろう(もちろん、実際の剛性はどうかわからない。剛性感、と表現すべきか。あと、アルミでも、品質の良いもので、かつガチガチにBBを固めていないものは、そこまで強い踏みごたえにはならないから、大丈夫だろう)。
また、これを後押ししているのが、トラクションのかかりの良さだろう。神経を研ぎ澄ますと、ホイールもかなり効いている感じがしたので、自分のフレームにキシリウムSRを入れないと、最終判断はできないが、速度の伸びは、フレーム+ホイールのトラクションのかかりの良さが効いていると感じた(いずれ記事にするつもりだが、キシリウムSLを自分のフレームに入れた時は、ユーラスの方が、トラクションが良くかかると感じたが、キシリウムSRはそれ以上の気がした。実験していないから、断言はできないが)。
さて、長々と書いているが、次に、フロントフォークに話題を移そう。これが良い。キシリウムは硬めのはずだが、それでも荒れた個所で跳ねない。軽いし、剛性が高いのみならず、振動減衰性が高い。ただ、剛性の高さと引き換えに、ショックは強く響くし、僕のフレームと同様の強さだと感じた。このとき、僕の方は、フュージョン3をクリンチャー化して使っていて、かなりマイルドな乗り味にしていたため、僕のバイクの方が角が円いくらいだ。しかし、路面追従性はスーパーシックスの方が良い(ただ、このとき、フロントは、練習用の重さ1㎏のホイールであったから、その影響も大きいが)。ただ、もちろん、微振動は抑えられ、衝撃は一瞬で収まるから、不快ではないし、疲れない。跳ねないからよく進む。荒れた路面では、カーボンの圧勝だ。ヨーロッパのレースで、金属フレームが駆逐された理由がよく分かる気がした(とはいえ、日本でも、実業団のトップのレベルでは、もうラバネロ等、一部チームだけしか金属は残っていないが)。
では、シッティングでじわじわ踏んだ時はどうか。低速では、やや軽さが生きている気がしたが、中高速では、フレームのしっかり感が感じられ、踏んだだけ進んだ。ただ、このとき、僕のバイクと比べ、やや前乗りで、大腿四頭筋を使うポジションだったので、つまり、チョイ乗りなら軽く感じるポジションであった、ということは考慮する必要がある。それを考えると、結局。ライダーの実力の影響の方が大きい気がした。もっとパワーがあったら、アルミとカーボンの差も出てくるのかもしれないが(ただ、結局疲れやすさの影響の方が大きい気がしている)。ただ、ポジションの差か、フレームの差か微妙だが、スーパーシックスの方が、カーボンらしい、絶妙なマイルドさのおかげで、踏み込みやすかったのは事実だ。あと、不思議なのが、雑なペダリングをしてもまっすぐ進むこと。やはり、絶妙なしなりがあったり、トラクションのかかりが良いのだろうか。
いやはや、かなり良かった。全体的にすっきりしていて、個性が少ない、といえばそれまでだが、良く進むバイクだと思う。非常にバランスが良く、このすっきりとした味付けは、嫌いではない。レースで使うなら、こう言う味付けが一番だろう。そして、定価で買うなら、ヨーロッパのライバルより安いし、コストパフォーマンスはかなり良いだろう。
では買い替えるか?これはかなり微妙なところだ。正直、僕のフレームも、前後にカーボンホイールを入れれば、かなり進むようになるので、路面がきれいなところや、そこまで距離が長くないレースなら、そこまで差は出ないだろう。あと、脚が残っているなら、実力差の方が、フレームの差より大きく影響するだろう(だから、振動対策をさらに強化したい)。長距離のロードレースで勝ちを狙いに行くレベルだったとしたら、もちろん買い替えるだろうが、今は、まだそのレベルではない。
ただ、当然、人には勧める。かなり良いし、このバイクのバランスの良さを考えると、古くならない味付けだろう。 どんなレベルの人にも、メリットがあると思う。
ともかく、まとめると、”スーパーシックス エヴォはかなり良いフレームだ ”ということ、そして、”パーツをいじると自転車はかなり変わる(そして、それは、より高いパフォーマンスを発揮することにつながる)”ということ、”ポジションが重要”ということが言えるだろう。
アルミフレームの性能強化、という意味で考えると、荒れた路面でのトラクションや、振動吸収(=体力温存)という面で、カーボンに劣っているので、 タイヤへのこだわりが重要、ということが言えるだろう。
長くなったので、マドンは次回書きます。
リンク:〈0.はじめに〉
一応、前の記事とつながっています。
よく進むロードバイクにするには、というテーマで、いろいろと書いてきたわけだが、じゃあ、フレームが違うとどうなのか、という疑問も出てくる。これまで、サイクルモードや、ショップの試乗会、知り合いのバイク、等いろいろ乗ってきたが、丁度、今回の記事の趣旨が、開発方針に含まれている(と雑誌の開発者取材記事などから判断できる)バイクに乗ったので、インプレを書くことにした。
具体的には
・CANNONDALE SUPERSIX EVO
・TREK MADONE 6 (パーツ構成から判断して、ショップのオリジナルと考えられる)
の二台だ(MADONE 7があれば乗りたかった…)。
試乗、という行為について、前の記事でいろいろと書いたが、 今回は、①スピードが出せる公道(幹線道路)で②軽いアップダウンがあり③自分のペダルを使うことが可能で④フレームサイズがぴったりで⑤ちょうど人がいなくて、20分程度乗ってよいと言われた、等かなり好条件だったため、このように記事にすることにした。もちろんボトルも持って、かなりハイペースで踏んでいった。
・スーパーシックス エヴォ
これはデュラエース仕様だったが、恐らく 2012年モデルで(したがって、7900系)ほぼ完成車と同じ仕様だった(ホイールがキシリウムSRで、サドルがフィジークのアンタレスだったので、これらのみ完成車と違うか?)。
ともかく、このスーパーシックス エヴォは
・軽量、高剛性
という、まさにカーボンのメリットを最大限に生かした正統派であり、また
・乗り心地へのこだわり
という点では、まさに僕がこれまで求めてきたことを重視しているフレームである(だから正直、出た時から欲しいと思っていた)。 さらに言えば、ジオメトリーも正統派だし、形も奇をてらっておらず(だから、かなり好み)、その上で、性能は、現時点で最高峰の一つと考えてよいわけだから、じっくり試乗させてもらった。
試乗車は、先述の通り、完成車に近いパーツ構成で、キシリウムSR、ハンドル・ステム・シートポストはFSAのカーボン、という感じで、振動対策と、剛性へのこだわりが感じられる。
乗り始め、大きな感動は感じなかった。ということは、短距離のレースよりも、長距離のレースの方が、その良さが生きてくるのだろう。というのも、踏み込んで、強烈に気持ち良いと、ついつい脚を使い切ってしまう可能性があるからだ。個人的には、例えば、ピナレロの上級モデルなど、気持ち良すぎて、長距離レースで足を残せる自信がない。念のため付け加えておくと、これは、ハンドルが高く、最初は、上半身をうまく使えなかったことも大きい(僕は、どうやら腕が長いようで、今のバイクも、大きめのフレームにあえて乗っている)。
しかし、緩い上りでじわじわ踏みこんでいったら、いろいろと見えてきた。まず、ハンドルの振りが圧倒的に軽い(ちなみに、僕のフレームも、フロントに軽量カーボンホイールを入れると、かなり振りが軽くなるので、振りの軽さは、フロントセクション全体の軽さとリンクしているのではないかと考えている)。重量の軽さは明らか。とはいえ、ホイールがしっかりしていたためか、すぐ慣れた。試していないが、超軽量の、やや剛性低めのカーボンホイールなんかを入れたら、かなり不安定になるのではないだろうか。
一応付け加えれば、別に、フレームが不安定はわけでは全くない。剛性は十分あるし、まっすぐ進むから、慣れれば問題ないだろうし、剛性が高いホイールとは、かなり相性が良いと感じた。
そして、一番好感を持ったのがスプリント能力。 発進時、そして、高速域からもう一踏み、という時に、車体が軽く、すっと目に出る。せいぜい900w台後半のスプリント力だが(体重が軽いので、、、と言い訳しておく)十分メリットが感じられた。意外にも、クリテリウムなど、スプリントが連続するレースでも、脚に優しく、活躍できるかもしれない。アルミの踏みごたえ、というのは、実は疲労の原因で、結果的にロスにつながるわけだから、こういう場面では、超高剛性のアルミより、このような、適度な剛性(もちろん低いわけではない)のカーボンの方が良いだろう(もちろん、実際の剛性はどうかわからない。剛性感、と表現すべきか。あと、アルミでも、品質の良いもので、かつガチガチにBBを固めていないものは、そこまで強い踏みごたえにはならないから、大丈夫だろう)。
また、これを後押ししているのが、トラクションのかかりの良さだろう。神経を研ぎ澄ますと、ホイールもかなり効いている感じがしたので、自分のフレームにキシリウムSRを入れないと、最終判断はできないが、速度の伸びは、フレーム+ホイールのトラクションのかかりの良さが効いていると感じた(いずれ記事にするつもりだが、キシリウムSLを自分のフレームに入れた時は、ユーラスの方が、トラクションが良くかかると感じたが、キシリウムSRはそれ以上の気がした。実験していないから、断言はできないが)。
さて、長々と書いているが、次に、フロントフォークに話題を移そう。これが良い。キシリウムは硬めのはずだが、それでも荒れた個所で跳ねない。軽いし、剛性が高いのみならず、振動減衰性が高い。ただ、剛性の高さと引き換えに、ショックは強く響くし、僕のフレームと同様の強さだと感じた。このとき、僕の方は、フュージョン3をクリンチャー化して使っていて、かなりマイルドな乗り味にしていたため、僕のバイクの方が角が円いくらいだ。しかし、路面追従性はスーパーシックスの方が良い(ただ、このとき、フロントは、練習用の重さ1㎏のホイールであったから、その影響も大きいが)。ただ、もちろん、微振動は抑えられ、衝撃は一瞬で収まるから、不快ではないし、疲れない。跳ねないからよく進む。荒れた路面では、カーボンの圧勝だ。ヨーロッパのレースで、金属フレームが駆逐された理由がよく分かる気がした(とはいえ、日本でも、実業団のトップのレベルでは、もうラバネロ等、一部チームだけしか金属は残っていないが)。
では、シッティングでじわじわ踏んだ時はどうか。低速では、やや軽さが生きている気がしたが、中高速では、フレームのしっかり感が感じられ、踏んだだけ進んだ。ただ、このとき、僕のバイクと比べ、やや前乗りで、大腿四頭筋を使うポジションだったので、つまり、チョイ乗りなら軽く感じるポジションであった、ということは考慮する必要がある。それを考えると、結局。ライダーの実力の影響の方が大きい気がした。もっとパワーがあったら、アルミとカーボンの差も出てくるのかもしれないが(ただ、結局疲れやすさの影響の方が大きい気がしている)。ただ、ポジションの差か、フレームの差か微妙だが、スーパーシックスの方が、カーボンらしい、絶妙なマイルドさのおかげで、踏み込みやすかったのは事実だ。あと、不思議なのが、雑なペダリングをしてもまっすぐ進むこと。やはり、絶妙なしなりがあったり、トラクションのかかりが良いのだろうか。
いやはや、かなり良かった。全体的にすっきりしていて、個性が少ない、といえばそれまでだが、良く進むバイクだと思う。非常にバランスが良く、このすっきりとした味付けは、嫌いではない。レースで使うなら、こう言う味付けが一番だろう。そして、定価で買うなら、ヨーロッパのライバルより安いし、コストパフォーマンスはかなり良いだろう。
では買い替えるか?これはかなり微妙なところだ。正直、僕のフレームも、前後にカーボンホイールを入れれば、かなり進むようになるので、路面がきれいなところや、そこまで距離が長くないレースなら、そこまで差は出ないだろう。あと、脚が残っているなら、実力差の方が、フレームの差より大きく影響するだろう(だから、振動対策をさらに強化したい)。長距離のロードレースで勝ちを狙いに行くレベルだったとしたら、もちろん買い替えるだろうが、今は、まだそのレベルではない。
ただ、当然、人には勧める。かなり良いし、このバイクのバランスの良さを考えると、古くならない味付けだろう。 どんなレベルの人にも、メリットがあると思う。
ともかく、まとめると、”スーパーシックス エヴォはかなり良いフレームだ ”ということ、そして、”パーツをいじると自転車はかなり変わる(そして、それは、より高いパフォーマンスを発揮することにつながる)”ということ、”ポジションが重要”ということが言えるだろう。
アルミフレームの性能強化、という意味で考えると、荒れた路面でのトラクションや、振動吸収(=体力温存)という面で、カーボンに劣っているので、 タイヤへのこだわりが重要、ということが言えるだろう。
長くなったので、マドンは次回書きます。
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