チューブラータイヤ各種インプレ

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[チューブレスタイヤ インプレまとめvol.2

SCHWALBE One tubular , Panaracer RACE type C evo2 , Vittoria Corsa CXⅢのインプレです。

[非常に長い前置き - シュワルベ Ultremo HTとの出会い]
レース用タイヤとしては、少なくともプロレースを見る限りは、今だtubularが主流と言って差支えがないだろう。僕自身は、しばらく練習からレースまですべてチューブレスでこなしていたが、最近、再び、練習ではチューブレス、レースではtubularとするようになった。本当はチューブレスの決戦用ホイールが欲しいが、残念ながら2015年時点ではカーボンtubularに匹敵する、魅力的なチューブレスホイールは少ない。もちろん、シャマルやユーラスで十分であることは間違えないが、カーボンチューブレスや、エグザリットリムのチューブレスがあれば、もっと魅力的なのに、と思う。

閑話休題。そういうことがあり、タイヤとしては超高性能といえるチューブレスを基準として、タイヤを選んでいるため、かなり厳しい評価となることを前提に、以下のインプレは捉えて頂きたい。また、体重が軽め(57kg)であることから、固めのタイヤの印象は相対的に悪くなる。例えば、一般的に評価が高いコンチネンタルのGP4000などは、確かに、tubularとしてはグリップ力が高いほうかもしれないが、僕の体重ではチューブレスと比べ、接地感(とグリップ感)がやや足りないと感じてしまう。一方、コンパウンドがやや柔らかめのコンペティションの場合は、GP4000と比べ、印象が良かった。その辺を前提としてインプレを読んで頂きたい。

その中で、しばらく気に入って使っていたタイヤがシュワルベのUltremo HTであった。これは、トリプルコンパウンドからくるハイグリップと、コンペティション同様、ツブツブのトレッドパターンによる、路面を強くとらえる感触、そして、固めとはいえラテックスチューブの為、振動減衰性もよく感じた。感触としては、Pro4 tubularとコンペティションを足して2で割った感じ。しかし、残念ながら廃盤となってしまい、試行錯誤した結果が以下のインプレである。


[シュワルベ ワン24mm]
当然ながらまずはアルトレモの後継、ワンをしばらく使用した。アルトレモは22mmを使っていたが、さらなるハイグリップと低転がり抵抗を求め24mmを購入した。
最初、アルトレモと同様の空気圧で乗ると、ツルツルとした感触で振動がゴツゴツくるという印象。第一印象は良くなかった。しかし、本国のHPをみると、推奨空気圧が24㎜は22mmより、2気圧低い。それに合わせて、空気圧を下げてみると、だいぶ印象が変わってきた。
まず、フロントについて。アルトレモ同様、本当にラテックスを使っているのか、と疑わざるをえない硬さではあるが、振動減衰性は悪くない。アルトレモの時より、2気圧近く下げて、やっとグリップ力を引き出せる様になったが、グリップ感はどちらかというとスリックに近く、アルトレモの様な、強い食いつき感はない。しかし、絶対的なグリップ力だけでなく、雨天グリップも高く、雨天時は水はけも良い気がした。なお、空気圧にはシビアな印象で、一度、高めの空気圧で雨中を走行したら、最初からツルツルした感触で、いきなり滑って落車した。この辺は、グリップ力を引き出せる空気圧を慎重に見極めるべき、ということだろう。
一方、リア。リアに関しては、転がり抵抗が圧倒的に低く、tubeless tireと比較しても遜色がないように思えた。空気圧を下げすぎるとやや突き上げ感があったので、最終的には前後で1気圧弱空気圧に差がある状態が、僕にとってはベストであったが、その様なセッティングの際は、とにかく軽い転がりが印象的であった。なお、グリップ感はフロント同様、スリックっぽく、いわゆる、ラテックスの接地感を期待しない方が良い。なお、アルトレモもそうだったが、リアはやや削れやすいので、これくらい空気圧に差があった方が、使う身としては、削れるスピードが均一化しそうで嬉しい(コンパウンドが柔らかめということなのだろう)。

[パナレーサー race typeC evo2]
以前、タイプAチューブラーを使った事があり、グリップ力、転がり抵抗共に好印象であった。しかし、せっかく新しいモデルが出たのだから、と思い、タイプCをじっくり使ってみたので、インプレしたい。
率直に言うと、インナーチューブのR-airはあくまでもブチルっぽい感触である。クリンチャータイヤの時よりも、ブチル感が強調される気がする。その為、柔らかめのホイールなら問題ないだろうが、硬めのホイールだと残念ながら、少し突き上げ感が強い。以前、タイプAを使っていた時は、手組のカーボンホイールだった為、かなり好印象だったが、今回、完組でかなりハイテンションのホイールと組み合わせたら、少し、以前と印象が変わってしまった。以前は、こんなにブチル感を感じなかった気がする。
具体的には、フロントは僕の体重では推奨空気圧の下限でも跳ねてしまう。しかし、グリップ力はかなり高いので、跳ねさえしなければチューブレス以上の、安心したコーナリングが出来るのではないかと思った。また、トレッドパターンがあるお陰か、路面の感触はつかみやすい。
一方、リアは好印象であった。コンパウンド自体も転がり抵抗が低い印象だし、Veloflex Carbon風のトレッドパターンは全く抵抗になっている感じがなく、むしろ、軽く転がってくれる。空気圧も、推奨空気圧の下限が、それより少し低い位で丁度良く、ブチルチューブにしては珍しく、接地感もある。それより空気圧を下げると、むしろ腰砕けになった。
なお、雨中も走ったが、グリップはしっかりしてくれた。ただ、当然、ドライの時より接地感は落ちるので、注意は必要だ。

[ビットリア コルサCX3]
定番のコルサCX。来年モデルチェンジする様なので、このインプレにどれだけ価値があるか分からないが、参考にはなるかもしれないので、書いておきたい。
今回は、やはりグリップ力の高さを求めて25mmを投入した。なお、カタログ重量は23mmと変わらず、理論上は良いはずであるし、実際、重さは感じなかった。23mmを使った事がないから、なんとも言えないが、他社の22mmや23mmを使ってきているので、それらと比べて明らかなハンディを感じていないので、個人的には好印象である。
このタイヤは定番と言われるだけあって、いわゆるラテックスらしい、しなやかで上質な走りが堪能できる。TPI320ということだが、同じくvittoria製と思われるTPI290のPro4 tubularよりも、もう一ランクしなやかな感触。ただ、あまりにしなやかな為か、空気圧の管理はややシビアな印象だ(Pro4はここまでシビアにしなくても十分なコシとしなやかさのバランスを味わえたと記憶している)。体重だけでなく、ホイールのスポークテンションなんかも考慮して考えるべきだろう。実際、ビットリアの空気圧管理アプリでも、体重+車重や、路面状況など、色々考慮した上で推奨空気圧を弾き出してくれる。ちなみに、僕の場合、ドライがF8.3bar,R8.7barでウェットがF7.3bar,R7.6barだが、結局ドライでF6.8bar,R8.0bar、ウェットではさらに0.1bar落とす、という、かなり極端なセッティングに落ち着いた。やはり、ホイール側の因子や、本人の好みなどにもかなり影響されると思われる。
しかし、セッティングが決まると、かなり上質で、常に路面を捉える感触が得られる。フロントのみならず、リアからも豊富にインフォメーションが伝わってくるので、安心感は高い。雨天時も、滑る直前で教えてくれる。雨天時の絶対的グリップ力はチューブレスまで届かないかもしれないが、十分使える。また、ドライなら、ほぼ問題ないだろう。
またよく、耐パンク性が問題にされるが、シーラントが効くチューブなので、そこまで問題にはならないだろう。

→新型コルサのインプレもアップしました!(2017/4/23)

[まとめ]
総括すると、グリップ力からくる安心感はチューブレス>チューブラーであると少なくとも僕は感じているが、グリップ感ではほぼ同じか、ラテックスならややチューブラー有利だろう。雨天時の絶対的なグリップは残念ながらチューブレスの方がやや上回る感触。ただホイールを含めた総合性能では、圧倒的にチューブラー>チューブレスなので、その辺が悩ましい。もはや、下手なカーボンチューブラーを買うなら、最高級のアルミチューブレスを買った方が良い時代が来たと、個人的には感じる(平地系など、ディープリムが必要な場面は別だが)。もしいずれ、ボーラやハイペロンのチューブラーモデルに相当するチューブレスホイールが出たら、ホイールとタイヤの勢力図は大きく変わるのではないだろうか。来年はビットリアもロードのチューブレスレディタイヤを投入する様だし、今後のチューブレスホイールの発展に期待したい。

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