定番ボトルケージ対決:Elite Vico Carbon vs Tacx Ciro (2022/1/1追記)

ブログ読者の皆様、本年もよろしくお願いいたします。今年最初の記事はボトルケージについて。
 
 目次
-プロが使うボトルケージはどれだ!?
-Elite Vico Carbon 長期インプレ
-Elite Custom Race PLUS プチインプレ
-Tacx Ciro ファーストインプレッション
-Tacx Ciro 長期インプレ(2022/1/1追記)
 
[プロが使うボトルケージはどれだ!?]
プロチームでよくつかわれるボトルケージといえばEliteのCustom Race PLUSとその軽量版Vico CarbonTacxのDevaとその改良版であるCiroだろう。とはいえ、ボトルケージを買い替えるとき、意外と参考になる情報が少ないと感じたので、今年最初の記事では、この、定番ボトルケージを比較したい。
 
と何となく自分の印象を書いてみたが、ボトルケージに注目した統計はないので、実際に、ワールドチームへ供給されているボトルケージを見ていこう。
なお、リンクを張ったURLを2020年12月末に参照して入手した2020年現在の情報なので、この記事が公開された際には情報が更新されている可能性があります。
 
●Elite(参考URL) 
INEOS GRANDIERS CYCLING TEAM→ VICO CARBON, LEGGERO CARBON
MOVISTAR TEAM→ VICO CARBON
TEAM BAHRAIN MCLAREN→ VICO CARBON, CUSTOM RACE PLUS
UAE TEAM EMIRATES→ VICO CARBON, CUSTOM RACE PLUS
FROUPAMA-FDJ→ VICO CARBON, CUSTOM RACE PLUS
AG2R LA MONDIALE PRO CYCLING TEAM→LEGGERO CARBON, VICO CARBON, CUSTOM RACE PLUS
TEAM ISRAEL START-UP NATION→Rocko Carbon, Cannibal XC, Leggero Carbon
●Tacx(参考URL
DECEUNINCK – QUICK – STEP →Ciro
JUMBO – VISMA→Ciro
EF EDUCATION FIRST→Ciro
MITCHELTON-SCOTT (M/F)→Ciro
NTT→Ciro
ASTANA→Ciro
LOTTO SOUDAL (M/F)→Ciro
TEAM TOTAL DIRECT ÉNERGIE→Ciro
●その他
BORA – HANSGROHE →?
CCC TEAM →Giant(参考URL)
TREK – SEGAFREDO →bontrager(参考URL)

Tacxホームページは情報量が少ないが、どちらにせよElite Vico CarbonとTacx Ciroが多数派であることが分かる。ワールドチームがほぼEliteとTacxで占められているのはむしろ驚きでもあるが、同時に両製品の信頼性の高さを示しているのだろう。

[Elite Vico Carbon長期インプレ]
このモデルは昨シーズンまで3シーズンで2セット(=4つ)使用したので、いきなり長期インプレを書かせて頂く。
1万キロほど使い込まれた状態;割と削れているが、それでも特に問題なく使える
 
端的に言えば、軽くて、ボトル保持力が高くて、耐久性が高いボトルケージである。
特にボトル保持力・耐久性の面に関して言えば、ボトル全周をサポートする形状なため、かなり使い込んでも保持力に不満が出ない。
その保持力自体も、新品の時はむしろきつすぎるくらいでEliteの純正ボトルがどうにか入るかどうか、という感じである。使い込んでいけばもう少し太いボトルも入るようになるが、どちらにせよボトル保持に不満を覚えた場面はない。
また、ねじを通す穴が上下に長くとられているため、ボトルケージをやや上につける、やや下につけるといった微調整が可能な点も良い。フレームサイズによってはそのような調整が助かる場面もあるのではないだろうか。
一方で、ねじをつける穴の幅がやや広いため、大き目のスペーサーを用意しないといけないことは弱点だろう。また、全体的に薄い造りなため、もちろん高品質なカーボンを使っていることの裏返しであろうが、僕の場合、これまで買った4つのうち、2つで下部のボトル保持部が折れて買い替えることとなった。もちろん、買い替え直前までボトル保持力に不満を覚えることはなかったので、そういった意味では耐久性が高いと言えるだろう。
軽くて耐久性が高いボトルケージとしておススメの商品である。しいて言えば値段の高さが弱点だろうか。

[Elite Custom Race PLUS プチインプレ]
こちら、サブバイクの方で使っているElite Custom Race PLUS。
 
Vico(左)とCustom Race PLUS(右)はほぼ同じ形状だが、後者はフロントエラストマーが特徴的

ほぼ同じ形状であるが、Custom Race PLUSの方が新品状態でのボトルの抜き差しはしやすい。材質の違いによりVicoより柔軟性が高いからだろう。そして、フロントエラストマーがあるおかげか、ホールド感には全く不満がない。エラストマーのおかげなのか、悪路でも全く問題なく保持してくれる。
それ以外のメリットデメリットも概ねVicoに準ずる。調整幅の広さは魅力だが、大き目のスペーサーの用意が必要である。なお、材質のおかげか、やや厚みがあることもあり、Vicoほどは華奢に感じない。
サブバイク用ということでほとんど使い込んでいないので長期使用した際にどうなるかは分からないが、Vicoの信頼性を考えると、大きな不満は出ないのではないかと感じている。値段も含めておススメできる製品である。

[Tacx Ciro ファーストインプレッション]
今シーズン、久々に新しい製品を試してみたくなり、昨年末からTacx Ciroを導入してみた。Vicoとの比較になるが、少なくともファーストインプレッションでは好印象である。
しっかり作りこまれていることが伝わってくる形状
 
実際の工作精度を比較する事は出来ないが、精度感、とでもいうのだろうか、しっかり作りこんでいる感じは、Vicoより一枚上手である。
特にそれを感じさせるのが、ねじ付近の作り込みである。付属のネジ及びスペーサーに合わせて加工されており、ねじを受ける部分の精度もかなり良く、均一に力がかかるであろうことが見た目から伝わってくる。専用ネジ&スペーサーが付属してくるだけでも好印象なのに、それにもまして作り込みが良いので、第一印象はElite VicoよりTacx Ciroの方が上である。
また、ボトル全体をがっちりホールドしてくれる。買った直後では、やや細身であるEliteの750mLボトルすら固くて入れるのが難しかった。また、ボトルを入れるときはカチッとしっかりホールドしてくれるのに対し、抜くときはするっと抜けるので不思議な感触であった。買ってすぐ気に入り、実際にレースにも投入してみたが、ほとんど問題は感じなかった。使い込んだVicoより、少しボトルを入れにくいため、補給のタイミングを多少意識したが、これも慣れ&使い込んでいけば問題なくなるだろう。
一方で、このようなボトル全周をサポートしているわけではない形状の場合、少なくとも他社製品で、長期使用の時に削れたり変形したりすることで保持が甘くなってくる経験がある。その辺がどうか、ワンシーズンしっかり使ってこの場で報告し、その上でVicoと比べてどうか、再検討したい。なお、現在1か月程度の使用ではほとんど問題を感じていないことを申し添えておく。

[Tacx Ciro 長期インプレ(2022/1/1追記)]
 
5000㎞使い込んだ状況
昨シーズンはあまり距離が伸びず、通算で5000㎞程度使った状況で長期インプレを書かせて頂く。結論から言えば、今のところ大きな問題を感じていない、という状況。今のところ勘合が緩くなることもなく、表面の削れも最小限となっている。コーティングの質やカーボンの質が良いのだろう。Eliteもそうだが、プロ使用率が高い機材は大きな問題が出にくいということを改めて実感させられた。
今後、自分が買い替えるとなると、やはりねじ部分の作り込みの良さからTacxを選択しそうだが、はっきり言ってどちらを選んでも大きな不満は出にくいと思う。あとは、軽さを求めるならEliteのLeggeroのほうが好ましいかもしれないといったところだろうか。

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