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ThinkPad T480sの改造もついにここまで来たか、という感じであるが、先日マザーボードの載せ替えに挑戦し、一時的にCPUをi5-8250Uからi7-8650Uに交換したので報告する。一時的に、というのは、結局動作が不安定で、失敗に終わったからであるが、何かの参考になれば幸いである。
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今回の2021年モデルのTシリーズ、Pシリーズはthunderbolt4対応だったり、PCIe4.0になっていたりと、規格が刷新されているため、購入をかなり前向きに検討した。しかし同時に今のメモリ40GB、SSD2.5TBのスペックを超えようと思うと、かなり高額になってしまうため、考えた末、T480sのCPUを載せ替えて更に延命し、新モデルの価格低下を待つことにした。もちろん、それでも新しい規格のPCの方が根本的な処理スピードが速いことは分かり切っているのでただの自己満足ではあるが笑
そんなわけで、マザーボード換装に挑戦。
aliexpressで入手。新品と思って注文した後、中古品であることに気づくという凡ミスそしてしまったが、しっかり動作確認もされており、そのテストの様子も送ってくれたので一安心。
また、この際注意してほしいのだが、安さにつられ、恐らくサードパーティ製と思われるET481 NM-B471という型番の製品を買って、結局うまく動作しなかったので、もし挑戦する方はLenovo正規スペアパーツカタログに載っている02HL860という型番を購入することをお勧めする(が、試したわけではないので保証は出来ません)。
緩衝材に挟まれたマザーボードが到着。
※モザイク部分は個人情報が印字されていたから消しただけです。怪しいものではありません。なお、CPUは写真中央のテープの下です(CPUグリスは塗布済でした)。
載せ替えは、基本的にはこちらの保守マニュアルが参考になる。そして、一つ一つの作業に関して参考になるのがこちらの動画。
ほとんど上の二つのリンクで事足りてしまうので、本記事では、”これを先に知っておきたかった”というポイントをかいつまんで述べていきたい。
最初にやることはバッテリーの無効化。これは分解時、共通してやるべきことでもある。
そして、意外と忘れそうなポイントとして、SIMカードトレイ取り外しがある。僕自身は全てのパーツを分解してからなぜかマザーボードが引っかかって取れないと思って気づいた。
次に、キーボードの取り外しについて。こちらは専用工具が必要とあるが、前述の動画を見るとわかるように、なんと公式動画でも専用工具を使っていない。
紙か精密ドライバーなど、薄いものを使ってTrackPointボタンを持ち上げてツメを外し、ねじを外して、再度、TrackPointボタンの基板部分のツメを外して、キーボードを外す。
外した後の写真を見て頂けばわかるように、割と単純な構造である。
あとはマニュアルに従ってSSD、メモリ、Wifiカード、LANケーブルの基板の一部、USBの拡張ユニット、バッテリー、CPUファンなどを外して、各ケーブルも外す。ちなみに、写真ではCR2032も外してしまっているが、実際は電池を外す必要はなかった(ケーブルのみ外せばよかった)。
より具体的に述べると保守マニュアルの64ページから78ページを順番に行えばよい(改めて見直すとなぜSIMカードスロットの項目を読み飛ばしたのか、と自分に言いたくなる笑)。
なお、しいて引っかかった点を述べると、バッテリーの取り外しは少し力が必要で、やや力を掛けながら上に引っ張るとカチャッと外れる感じであった。
今度は逆向きに戻していく。
電源スイッチを複数回押したら起動した。WindowsとBios?が自動で更新され起動した。
i7もしっかり認識されている。ここまでは順調だったが、問題はこれからである。
まず、Winsat formalコマンドを使って性能を調べると、むしろCPUのスコアは低下していた(9.0→8.9)。一応周波数がマックスの4.2GHz近くまで上がるが、期待外れである。
そして、もう一つの問題として、使っていると急にCPUファンが停止し、ファンの動きが再開すると同時にwifiとキーボードが認識されなくなる、という問題が発生した。
そしてファームウェアの入れ直しなどを何度かしたが、どうしてもだめで、しまいにはブルースクリーンが生じるようになってしまった。
こちらのリンクを参照しながらboot領域の書き換えを行い、Biosの初期化もしたら起動もしたが、それでもキーボードだけはダメだった。使い始めてからしばらくすると、急にwifi・キーボード共に接続が切れてしまう。そしてTrackpadのみは反応している。
そうなると、残る可能性として自分の組みつけの問題か、マザーボードが不良品なのか、OS側の環境設定の問題(特に電源管理の異常・ファン制御の異常?)なのか、ということになる。
ただ、自分が組付けたはずのUSBサブカードだったり、有線LANだったりは問題なく動いているので、出荷時のマザーボードのテスト結果を信じるならばOSが原因だという事になる。ちなみに、自分でハードウェアチェックを行うと、キーボード・wifiともに動いているときは全く問題なし、動きが止まった後は、デバイスは正常に動作しているがオフになっているといった表記になっている。そんなわけで、以下のようなことを試したが、すべてうまくいかなかった。ちなみに、不思議なことに一度ファンの回転が止まった後はキーボードとwifi以外は正常に動くし、ファンにもデバイスエラーは出ていない。
・デバイスのファームウェアの更新(Lenovoのシステムアップデート、Intelのドライバサポート&アシスタント、Driver Booster Freeを使用)
・Bios更新
・Windowsの再インストール(上書き)
・Windowsの再インストール (新規)
・システム無人スリープタイムアウト無効化
・システム冷却をアクティブからパッシブに変更
・CPUのスピード制限(最大95%に)
・緊急リセットボタン(やっていることはCMOSクリア?)
ちなみにシステム冷却をパッシブにすると、例えば、外付けSSDから別の外付けSSDへのデータ転送中に、急にCPUの動作が止まる?のか作業が停止し(SSDが認識されなくなり)、CPU温度が一気に下がるということもあった(これはすぐ再認識されるが、手動で作業を再開しないといけなかったし、繰り返し生じた)。
店に問い合わせても要領を得ず、しまいには数日間既読がつかない、ということも生じたので、返品することにした。
ちなみに、元々のマザーボードで組みなおしたら一発で正常に動いたので、恐らく自分自身のテクニックの問題ではないと思われる。不良品だったのか、それとも本当に相性が悪いのか、もしくは実は互換性が無かったのかは分からないが、CPUのアップグレードの難しさを改めて痛感させられる結果となった。
*なお、元のマザーボードを使用する際は、BIOSの日付設定の修正とWindowsのライセンス再認証が必要なことに注意。
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ココからは余談。ただ元に戻すだけではつまらないので、wifi 6への対応と、冷却系の強化を実施。
①wifi 6
こちらはいたって簡単。Wifi6モジュールを買ってつけて、ファームウェアを更新すれば普通に使える。
②冷却系強化
ついでに古いCPUグリスが当然固まっているので、グリスクリーナーも購入。
ちょっと載せすぎた。
そして、SSDにSeagate FireCuda 510 M.2を使用していることもあり、放熱量が多いため、適当に、家電量販店の店頭を物色し、最も熱伝導率が高かったシートを購入。
性能がアップしたかどうかは分からないが、心なしかCPU温度が以前より低く(少なくともi7よりは低い状態を保てている)、かつクロック周波数も以前より安定して高い状態を保てている気がする。以前は重い処理をするとすぐ周波数が下がっていたが、今は高い状態で安定している。体感的にはほんのわずかに速くなったか気のせいか、といったところである(ちなみにi7はちょっと速かった気がしている)。
とはいえ、結果的にCPUグレードアップは失敗したものの、PCのスペック自体は若干アップし、また安定性も以前より向上した(はず)ので満足といえば満足である。
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