皆さん、今年もよろしくお願いします。
昨年から、自転車のパーツインプレだけでなく、旅行記事的なものも重視してきましたが、今年も同様に、万遍なく、色々な分野の記事を書けたらと思っています。
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さて、今年初投稿は、MAVICホイールのインプレを三つほど。
具体的には、
◦コスミック カーボン 40 エリート
◦キシリウム プロカーボン SLクリンチャー
◦キシリウム プロ SL
をかなりホイールの特性が分かり易いコースで試乗できたので、インプレしたい。特に、コスミックはクリテリウムレースでも使えたので、特性がかなり良く感じられた。
※2019/1/1: "MAVIC Ksyrium Pro Carbon SL UST"のインプレを掲載しました。
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◦キシリウム プロ SL
まずはキシリウムから。最新のワイドリムとISM 4D切削による空気抵抗低減と重量低減により、ペアで1400gを切っている、今一番注目のアルミリムホイールといえるだろう。今回はエグザリットモデルの試乗ができなかったので、ノーマルバージョンをじっくり乗らせてもらった。
直前まで決戦用ホイールとしてボーラを使っており、また、普段の練習ではユーラスを使って、身体がそれらに慣れた状態で試乗したが、それらのホイールと比べても、乗り始めの剛性感を強く感じる。よく言えばがっちり重厚感にあふれており、悪く言えば重い。
あふれんばかりの剛性感ではあるが、反応はよく、踏み込めばしっかり前に進む。一方、フロントもスポーク数の多さなのか、太さなのか、しっかりとリムが地面に接地している感じがある。リムが全くよれていない感じがあり、コーナーでも安心である。
悪路は走っていないが、恐らく海外の荒れた路面でも全く問題なく走れるホイールだろう。練習からレースまで一本で済ませられる万能ホイールとして、長距離遠征用ホイールとして、もしくは体重があるパワー型ライダーのレース用ホイールとして、一本あると便利なホイールだと感じた。
◦キシリウム プロカーボン SLクリンチャー
キシリウム史上最軽量ホイールとして注目を集めているカーボンリムのキシリウムシリーズ。一昔前に、キシリウムがグランツールの山岳コースで使われていたことを考えると、もう一度キシリウムがトップレベルのレースに戻ってくるための、MAVICの秘策ともいえるだろう。
今回はチューブラーモデルがなく、クリンチャーモデルのみであったが、それでも、アルミの最上級グレードよりはわずかに軽い。そこはアルミリムを極めていたにもかかわらず、あえてカーボンクリンチャーを出すというMAVICの意地だろう。
敢えて、アルミではなくカーボンを選ぶ理由は何だろうか―そこに注目して試乗を進めたが、一つのメリットは、バランスではないかと感じた。アルミよりマイルドな感触だけど、別に反応が悪いわけでは無い。恐らく、ステンレススポークも相まって、若干振動吸収性が良いのだろう。シャキシャキ進む軽快感を感じた。
恐らくだが、今はアルミリムで無理やり切削して軽くするより、カーボンの方が耐久性が高いのではないかと思う。
そして、少なくともドライではカーボンの方がブレーキが利く。今回、若干ウエットな部分でも試せたが、キシリウム・コスミック含めMAVICに関してはカンパ同様、ウエット状態でもかなり効きが良いので、アルミとそん色ないか、むしろカーボンの方が効くと結論付けてよいだろう。
そういった意味では、練習からレースまで使える万能ホイールとしては、値段を気にしなければむしろキシリウムカーボンのクリンチャーモデルは優秀な一本ではないだろうか。
ただし、レースの決戦用としてあえてクリンチャーを買う理由は、今のところまだ大きくないのではと感じたのもまた事実である。今回チューブラーモデルは試乗していないが、同じ剛性で軽かったら、敵わないだろう。更に言えば、最近はチューブラーでも、クリンチャーと比べても十分なグリップがあるタイヤが多いのでチューブレスにならない限りは、(性能、安全性含め)大きなアドバンテージは生まないと感じる(参考記事①、 参考記事②)。もちろん、チューブラーより粘っこく接地してくれるので、走り易いのはクリンチャーの方ではあるが。
最後に余談であるが、MAVICの方とその辺を議論させて頂いたら、 やはり、決戦用として最もお勧めなのは、キシリウムのカーボンチューブラーバージョンだとおっしゃっていた。後ほど述べるが、コスミックは剛性感が更にもう一ランク高く、使いこなしやすいのはキシリウムのほうだという。いずれ試乗する機会が有れば試乗したいと思う。
◦コスミック カーボン 40 エリート
今回あまりに気に入って、クリテリウムレースまで走らせて頂いた一本。更に、自分のフレームだけでなく、試乗用として用意されていた、ターマックSL4でも乗らせて頂いた。
ファーストタッチで感じたのはとにかくリムがしっかりしているという事。ボーラなどと比べてもリムの存在感がかなりあり、フィーリングとしてはENVEなどに近い。接地感がかなり強く、レースでハイスピードでコーナーに入っても、路面からの感触をつぶさに伝えてくれて、安心して突っ込んでいける。スポークテンションに対してリムが負けていない感じがかなりあり、コーナーで倒した際にも連続的に状況が伝わってくる。この感じはキシリウムカーボンよりも更にワンランク上だった。
一方で、リアの剛性感はアルミのキシリウムほどではないが、キシリウムカーボンより更にワンランク上で、最初は扱いこなせるのだろうか、と心配になったが、実際にレーススピードになると、踏めば踏むほどぐいぐい進んでいき、かなり高印象であった。ボーラのような自然にアシストしてくれる感じではなく、踏んだら踏んだ分だけどっしり進んでいくという感触ではあるし、アタックの応酬でボーラと比べたらやや足に来る感じはあったが、それでもパワーにあふれたライダーであれば問題にはならない範囲だと思う。どっしり重厚に進んでいく感じは、好きな人は好きだろう。
実際今回、二回レースを走った二回目での使用であったが、タイムは両方同じだったものの、平均パワーが、ボーラを使用した時と比べてコスミックの方が若干高くなっていた。 恐らく、重量差により、立ち上がりでパワーを要したのだろうが、そういった意味では、重量級ライダーやパワフル系のライダーの方がより性能を引き出せるのではないかと感じる。
チューブラーモデルも、意外と軽くないことを考えると、コスミックシリーズは軽量級選手にはあまり勧められない気もするが、 扱いやすさと剛性を兼ね備えており、パワー系ライダーの平地決戦用ホイールとして、強く勧められる一本であった。
※Dura-Ace 9100プチインプレ
試乗車のターマックSL4に9100系の紐デュラがついていたのでプチインプレ。なお、時間の関係でターマックの方はかなり短時間の試乗になったので、フレームの特性はほとんどわからなかったが、素直な、走り易いフレームだと感じた。以下のインプレは、普段カンパを使っており、シマノを使う機会は年に数回の人間が書いているので、その辺は差し引いて読んでほしい。
9100系デュラは、軽い操作感の中にもカチッとした節度感があり、非常に好印象なコンポだった。変速はフロントリア共に一瞬で、しかも、9000系や7900系のようなスカスカな感触ではなく、変速したことがしっかり伝わってくるフィーリングだった。また、ブレーキの剛性も従来より更にワンランク 上がった感じがあり、以前にも増してしっかり止まるブレーキだった。
全般的にかなり進化、深化を遂げており、非常にお勧めできるコンポだった。
昨年から、自転車のパーツインプレだけでなく、旅行記事的なものも重視してきましたが、今年も同様に、万遍なく、色々な分野の記事を書けたらと思っています。
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さて、今年初投稿は、MAVICホイールのインプレを三つほど。
具体的には、
◦コスミック カーボン 40 エリート
◦キシリウム プロカーボン SLクリンチャー
◦キシリウム プロ SL
をかなりホイールの特性が分かり易いコースで試乗できたので、インプレしたい。特に、コスミックはクリテリウムレースでも使えたので、特性がかなり良く感じられた。
※2019/1/1: "MAVIC Ksyrium Pro Carbon SL UST"のインプレを掲載しました。
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◦キシリウム プロ SL
まずはキシリウムから。最新のワイドリムとISM 4D切削による空気抵抗低減と重量低減により、ペアで1400gを切っている、今一番注目のアルミリムホイールといえるだろう。今回はエグザリットモデルの試乗ができなかったので、ノーマルバージョンをじっくり乗らせてもらった。
直前まで決戦用ホイールとしてボーラを使っており、また、普段の練習ではユーラスを使って、身体がそれらに慣れた状態で試乗したが、それらのホイールと比べても、乗り始めの剛性感を強く感じる。よく言えばがっちり重厚感にあふれており、悪く言えば重い。
あふれんばかりの剛性感ではあるが、反応はよく、踏み込めばしっかり前に進む。一方、フロントもスポーク数の多さなのか、太さなのか、しっかりとリムが地面に接地している感じがある。リムが全くよれていない感じがあり、コーナーでも安心である。
悪路は走っていないが、恐らく海外の荒れた路面でも全く問題なく走れるホイールだろう。練習からレースまで一本で済ませられる万能ホイールとして、長距離遠征用ホイールとして、もしくは体重があるパワー型ライダーのレース用ホイールとして、一本あると便利なホイールだと感じた。
◦キシリウム プロカーボン SLクリンチャー
キシリウム史上最軽量ホイールとして注目を集めているカーボンリムのキシリウムシリーズ。一昔前に、キシリウムがグランツールの山岳コースで使われていたことを考えると、もう一度キシリウムがトップレベルのレースに戻ってくるための、MAVICの秘策ともいえるだろう。
今回はチューブラーモデルがなく、クリンチャーモデルのみであったが、それでも、アルミの最上級グレードよりはわずかに軽い。そこはアルミリムを極めていたにもかかわらず、あえてカーボンクリンチャーを出すというMAVICの意地だろう。
敢えて、アルミではなくカーボンを選ぶ理由は何だろうか―そこに注目して試乗を進めたが、一つのメリットは、バランスではないかと感じた。アルミよりマイルドな感触だけど、別に反応が悪いわけでは無い。恐らく、ステンレススポークも相まって、若干振動吸収性が良いのだろう。シャキシャキ進む軽快感を感じた。
恐らくだが、今はアルミリムで無理やり切削して軽くするより、カーボンの方が耐久性が高いのではないかと思う。
そして、少なくともドライではカーボンの方がブレーキが利く。今回、若干ウエットな部分でも試せたが、キシリウム・コスミック含めMAVICに関してはカンパ同様、ウエット状態でもかなり効きが良いので、アルミとそん色ないか、むしろカーボンの方が効くと結論付けてよいだろう。
そういった意味では、練習からレースまで使える万能ホイールとしては、値段を気にしなければむしろキシリウムカーボンのクリンチャーモデルは優秀な一本ではないだろうか。
ただし、レースの決戦用としてあえてクリンチャーを買う理由は、今のところまだ大きくないのではと感じたのもまた事実である。今回チューブラーモデルは試乗していないが、同じ剛性で軽かったら、敵わないだろう。更に言えば、最近はチューブラーでも、クリンチャーと比べても十分なグリップがあるタイヤが多いのでチューブレスにならない限りは、(性能、安全性含め)大きなアドバンテージは生まないと感じる(参考記事①、 参考記事②)。もちろん、チューブラーより粘っこく接地してくれるので、走り易いのはクリンチャーの方ではあるが。
最後に余談であるが、MAVICの方とその辺を議論させて頂いたら、 やはり、決戦用として最もお勧めなのは、キシリウムのカーボンチューブラーバージョンだとおっしゃっていた。後ほど述べるが、コスミックは剛性感が更にもう一ランク高く、使いこなしやすいのはキシリウムのほうだという。いずれ試乗する機会が有れば試乗したいと思う。
◦コスミック カーボン 40 エリート
今回あまりに気に入って、クリテリウムレースまで走らせて頂いた一本。更に、自分のフレームだけでなく、試乗用として用意されていた、ターマックSL4でも乗らせて頂いた。
ファーストタッチで感じたのはとにかくリムがしっかりしているという事。ボーラなどと比べてもリムの存在感がかなりあり、フィーリングとしてはENVEなどに近い。接地感がかなり強く、レースでハイスピードでコーナーに入っても、路面からの感触をつぶさに伝えてくれて、安心して突っ込んでいける。スポークテンションに対してリムが負けていない感じがかなりあり、コーナーで倒した際にも連続的に状況が伝わってくる。この感じはキシリウムカーボンよりも更にワンランク上だった。
一方で、リアの剛性感はアルミのキシリウムほどではないが、キシリウムカーボンより更にワンランク上で、最初は扱いこなせるのだろうか、と心配になったが、実際にレーススピードになると、踏めば踏むほどぐいぐい進んでいき、かなり高印象であった。ボーラのような自然にアシストしてくれる感じではなく、踏んだら踏んだ分だけどっしり進んでいくという感触ではあるし、アタックの応酬でボーラと比べたらやや足に来る感じはあったが、それでもパワーにあふれたライダーであれば問題にはならない範囲だと思う。どっしり重厚に進んでいく感じは、好きな人は好きだろう。
実際今回、二回レースを走った二回目での使用であったが、タイムは両方同じだったものの、平均パワーが、ボーラを使用した時と比べてコスミックの方が若干高くなっていた。 恐らく、重量差により、立ち上がりでパワーを要したのだろうが、そういった意味では、重量級ライダーやパワフル系のライダーの方がより性能を引き出せるのではないかと感じる。
チューブラーモデルも、意外と軽くないことを考えると、コスミックシリーズは軽量級選手にはあまり勧められない気もするが、 扱いやすさと剛性を兼ね備えており、パワー系ライダーの平地決戦用ホイールとして、強く勧められる一本であった。
※Dura-Ace 9100プチインプレ
試乗車のターマックSL4に9100系の紐デュラがついていたのでプチインプレ。なお、時間の関係でターマックの方はかなり短時間の試乗になったので、フレームの特性はほとんどわからなかったが、素直な、走り易いフレームだと感じた。以下のインプレは、普段カンパを使っており、シマノを使う機会は年に数回の人間が書いているので、その辺は差し引いて読んでほしい。
9100系デュラは、軽い操作感の中にもカチッとした節度感があり、非常に好印象なコンポだった。変速はフロントリア共に一瞬で、しかも、9000系や7900系のようなスカスカな感触ではなく、変速したことがしっかり伝わってくるフィーリングだった。また、ブレーキの剛性も従来より更にワンランク 上がった感じがあり、以前にも増してしっかり止まるブレーキだった。
全般的にかなり進化、深化を遂げており、非常にお勧めできるコンポだった。
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