ユーラス考①

今回から、Campagnolo EURUS 2-WAY FIT UDの2011年モデルのインプレッションおよび考察を五回にわたって書こうと思います。これからカンパホイールを買おうと思っている人に、参考になれば幸いです。

目次
ユーラス考①[はじめに][ユーラス購入理由][乗る前の観察]
ユーラス考②[実走インプレ][整備]
ユーラス考③[疑問][改造][改めてインプレッション][考察]
ユーラス考④[追記][さらに問題発生][完成]
ユーラス考⑤[限界域で見えてきたこと][本当のまとめ]

[はじめに]

僕の結線していたホイールは、テンションを上げすぎたたことで、すべてのスポークにひずみが入ってしまった。そこで、壊れる危険を取り除くため、ついにホイールを買い替えた。その後いろいろな問題もあったが、それを含めた、約4か月の記録が、これからの5回にわたる投稿である。

[ユーラス購入理由]
比較検討したのは以下のホイール。
・ボーラワン
・シャマルウルトラ
・キシリウムSR
・レーシング3
・EASTON EA90SL
・手組(アンブロッシオ ネメシス+レコードハブ+DT エアロライト)

欲しかったのは、整備がしやすく、走りがよく、そこそこ耐久性があり、練習からレース、はたまたツーリングまで使えるホイール(贅沢だ(笑))。

それにしても、ボーラワンの安さには驚いた。一昔前のシャマルの定価とほとんど変わらない実売価格ではないか。ただ、やはりツーリングで使えるか、というと少し怖いし、ユーラスと比べると、実売で2倍くらいの価格になるのでやめた。(ただ今は、リアホイールのリムのさらなる軽量化と高剛性化を求めるために、リアのみボーラワンというのが理想的だと考えている。どこかでばら売りしてくれないだろうか)

シャマルは、ずっと憧れていた。が、2011年モデルの違いはハブのみで、しかもリアハブの肉抜きが、シャマル―レーシングZERO系とゾンダ―レーシング3系はユーラス―レーシング1系より明らかに多い。しかも、シャマルはカーボンハブで、まず、整備時に灯油がかけられないし、しかも肉抜きが多いと少し不安。しかも、ハブのベアリングの違いはCULTならともかくUSBレベルなら粘度の低いグリスの使用で超えることが可能、と触ったとき思った。
後、レーシング1はテンションの調整で似た味が出せると思い、候補には入らなかった(ただ、剛性感では、間違いなくフルクラムのほうが上だろう、と今は考えている)。
また、今は、”シャマルのチューブラー”は、候補に入れるべきだと思っている(後述。しかし、僕自身は、後述するようにユーラスをいじることで、性能面では満足している)。

一方、キシリウムSRは迷った。実売価格では若干キシリウムのほうが高いが、リアのR-SYS同様の構造は、ホイールとして、一つの理想ともいえる構造だと思うからだ。しかも、R-SYSだと、フロントの空気抵抗の問題が付きまとうが、キシリウムSRなら問題ない。
しかし、一番大きな問題は、シールドベアリングであること、そしてチューブラータイヤ、もしくはチューブレスタイヤに対応していないこと。前者は整備性や回転性能の面で明らかに不利になる(例えば、シールドベアリングは、力のかかる方向に対しベアリングが対応できない…という風な説明が、シマノのカタログなどにある)。
そして、タイヤについては、パンク時の安全性や、路面との対話のしやすさを考えると明らかにクリンチャーは不利になる(キシリウムSLRならチューブラーもあるが、さすがに高い)。

そして、レーシング3。コストパフォーマンスは明らかに頭一つとびぬけている。しかも、リムがレーシング1やZEROとほぼ変わらないことから、性能は極めて高いはずだし、ニップルがアルミではないから、いじりやすい。しかし、どうせ、もっと上のホイールがほしくなると思ったし、今のユーラスの実売価格が、一昔前のレーシング3の定価と変わらないから、却下された。

一方のEASTONだが、結局キシリウムと同様の理由で却下。しかし、SLはスポークが多いので耐久性が高く、調整もしやすいし、安いから、隠れた逸品といえるだろう。

そして、最後まで迷ったのが手組ホイール。ユーラスが安くなっていることから、値段差はほとんどなくなるのだが、多スポークによる豊富なロードインフォメーションや耐久性の高さ、さらには威圧感のなさなど、非常に魅力的だ。その上重量差はほとんどなく、ネメシスやMAVICリフレックスを使えば、相当レベルの高いホイールができるはずだ。
しかし、フロントのスポーク数の多さは空気抵抗を生み、リアに関しては、ストレートスポークでない以上、どんなに頑張っても剛性面では不利だろう。結局値段がほぼ変わらないことから、ユーラスを選んだ。

消去法に思われるかもしれない。確かにそういう面もある。しかし、やはり、昔からユーラスはバランスの良いホイールなのである。突出して、これがメリット、という点はあまりない。その代わり、だれがどのように使っても良いし、フレームを選ばない。しかも2011年モデルは、ニップルがアルミなので、シャマルとほぼ変わらない重量である。まさにお買い得だ。

[乗る前の観察]

乗る前および、ローラー台で乗った時にわかったこと。
・ハブ→カップ&コーンらしく、非常に滑らかに回り、好印象。さすがレコードハブ。
・ラチェット→滑らかにかかる。分解はしていないが、非常に出来が良いと思う。しかし、かかり自体はデュラエースのほうが上か。
また、最初はグリスがなじんでいないようで、空転させると、急に音が出ては消える、という現象が見られた。しかし、グリスは入っているようだ(後で確認。粘度がほどほどのグリスが入っていた)。
・リム→非常に出来がよい。しっかし切削しており、ブレーキ面の精度も見るから高い。そして、剛性も、触っただけで相当高いことがわかる。デザインは、個人的には昔の(2008年以前の)武骨なものも好きだが、これもこれで、見ているうちに好きになった。
・スポーク→前後方向には硬く、左右方向にはそうでもない、という見た目通りの剛性(後で分解(!)して確認。粘りがある良いスポークだ)。テンションはあまりかけられていないようだが(特にリアは相当低い。後述)スポークがしっかりしているためか、ホイール自体はしっかり剛性があるという印象。
だが、やはりこの左右の適度なしなりが、上下方向の適度なしなりを生み、巷で言われる中高速域で伸びる、という性能を実現しているのではないだろうか(乗ってみてもたぶんそうだろうと思った)。特にG3組は、上下に適度にしなてくれそうである(もちろん剛性の塊だが、要は目に見えたり感じたりできないレベルでそうなのでは、と推測。フレームと一緒)。
・クイックレリーズ→賛否両論あるだろう。確かにデュラエースのようなくっきりした動きではないが、弱い力で強く絞められるクイックだと思った。このやわらかめの感触は、嫌いな人は嫌いだろうが、個人的には好きである。

さて、気になる重量は
F:636g
R:848g 
計:1484g(2-WAY FITかつカンパ仕様)

シャマルとの部品の共有化のせいか、さすがに軽い。ローラーで乗った感じでは、これまでのホイールのスポークテンションが高すぎたせいか、剛性感の違いは感じ取れない。また、リムが軽いからか、慣性は付きにくい印象。だが、まわしていくと空気抵抗はかなり少ない印象だし、高速域ではリムが軽い分、回しやすいと感じた。

(次の投稿に続く)

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