Selle Italia SP-01 & Selle SMP F30C インプレ (2020/8/9追記) & SMP F30 Carbon Rail プチインプレ(2021/3/9追記)

この数年間Selle Italia Fliteを愛用し続けていたが、昨年はSelle Italia SP-01 KIT CARBONIO SUPERFLOWをワンシーズン使用し、そして冬からは今シーズン用としてSelle SMP F30Cを導入したので、両者のインプレをお届けします。

*2021/3/9追記 F30のCARBON RAILモデルも購入し数か月使用したので末尾にプチインプレを追記しました。

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Selle Italia SP-01 KIT CARBONIO SUPERFLOW

自動車業界からインスピレーションを受けたという、これまでにない奇抜なルックスで登場した、SP-01。新しいもの好きとして使わないわけにはいかないので、気に入りすぎて、様々なバリエーション(チタンレール、カーボンレール、フリクションフリーなど)を試すほど気に入っていたFliteから乗り換えてみた。

このサドル、やや値段は高いが、重量など、スペック的には申し分ないし、サドルの全長が長いから、座れる場所が多いし、しかも、最近流行りの前乗りポジションでサドルをセッティングしても、自転車のフォルムが崩れない。

第一印象は、ローラーと実走で全然違うサドル、というものだった。もともと、Fliteは太ももに全然当たらないところがメリットだったが、SP-01は分類上L3ということで開口部が広いためか、サドル後部(先端から座面への移行部)のRが緩いので、ローラーのようにサドルにどっしり座るときは太ももがすれてしまう感触がある。一方で、実走では、座る位置が微妙に変わるためか、ほとんど気にならなかった。
そして、だんだん慣れてしまうが、当初は、骨盤に合わせて左右に動く、というのが新鮮だった。もちろん、カーボン製なので、力をロスするというよりは、高いトルクをかけた時、サドルが押し出してくれるようなイメージである。恐らく軽くアシストしてくれているという点では、縁の下の力持ち的な感じである。
Fliteと比べて、ややベースが固いのか、ワンシーズン使ってもへたりが少ない一方で、長距離でややお尻が疲れる感じはあったが、L2のFlite flowに対し、尿道への負担はさらに少ない印象があった。

奇抜なデザインで、乗り味も独特なので、合う合わないは分かれそうだが、尿道にやさしいサドルが欲しくて、かつトルクをかけたペダリングをする選手には勧められるサドルだと思う。

Selle SMP F30C

7年ぶりくらいのSMP導入。以前使っていたCompositeも尿道にやさしい良いサドルだったが、ポジションがなかなか決まらなかったので、そのこともあって、しばらく敬遠していた(結果的に、実は僕は骨盤の幅が広いことがそのあと判明したので、CompositeよりはFormaを買うべきだったのだと思う)。
SMPとしては座面がフラットで、様々なポジションが取れるのが売りのF30シリーズ。スペック的にやや重めなので、軽さを求めて、というのと、先端から座面への移行部のRがきつくないと太ももがすれて違和感を感じるという点で、ショートノーズのCを選んでみた。

結論から言うと、比較的座る位置が限定されるサドルだと思う。もちろんSMPとしては前後に動かせるが、Fliteなどと比べるとさらに固定されると思う(もちろん、前乗りしようと思えばできるし、自分から動かそうとすれば前後どちらにも動かせる)。
しかし、安定感はかなり高い。腰を落ち着けて重いギアをしっかり踏める。パワーが出しやすい反面、体幹が疲労させられる印象であった。腰にくる、という言い方もできるかもしれないが、腹筋や背筋をしっかり使えるサドルという捉え方をすれば、レース用としてはむしろ良い意味での疲労だろう。
また、ベースのしなりはほとんどないが、エルゴノミックな形状のおかげか、お尻が痛くなることはほとんどないし、尿道にもとても優しい。
レース用サドルとして、(ポジションセッティングの容易さなどの意味で)従来のSMPより使いやすくなったF30、多くの人にお勧めできるサドルだと思う。
実際に使うとほとんど重さは感じないが、より軽量なハイスペックモデルが出れば(高価にはなるだろうが)死角がほとんどないサドルになるだろう。

絶賛に近くなってしまったが、個人的にFlite並みに気に入ったサドルである。SMPの方が座面が固い分、ヘタるまでの時間が長いので、じっくり使い続けたいと思う。

(2020/8/9追記) 

僕は普段サドルはワンシーズンで買い替えることが多かったが、F30Cは現在2年近く使い、1万キロに迫っているが、まだまだ問題なく使えている。さすがに、中央部がへこんでくるなど、変形も見られ、若干シートポストの突き出し量を調整することもあったが、ほとんど問題なく使えている。以前使っていたCompositもそうだが、ベースのへたりは長期使用でもほとんど感じない。ベースが柔らかったり、クッション性が高かったりするサドルも快適でよいが、どうしてもへたりが気になってくる。一方でSMPのようなベースが硬いサドルは、形状が合わないときついだろうが、合う場合はへたりが少なく、長期使用に適する点がメリットだと思う。それに関連するか分からないが、重量面の重さはデメリットとなるので、もし軽さを求める方は、カーボンレールモデルを買うとよいかもしれない。

ともかく、久々にリピートしたくなる製品に出会えたのでとても良い買い物であった。 

F30 Carbon Railプチインプレ(2021/3/9)】
さて、上でF30Cをリピートしたいと書いたが、結果的にノーマルのF30のカーボンレールモデルを購入し、数か月使用したので軽くインプレしたい。 

今回、ノーマルのF30にしたのは、座る場所を変えたいという要望からである。僕自身の練習環境としてローラーの占める割合が多いため、F30Cだと特定の筋肉のみに負荷が集中する傾向があった。またロードレースで、もう少し座る位置を変えながら走りたいと思ったため、ノーマルバージョンとした。この辺はショートサドルとの相性、練習環境、出場するレースの種類などによって変わってくるものと思われる。クリテリウム的な負荷がかかる場面では座る場所を変えたいと思うし、グランフォンド的な上げ下げの少ない走りであればショートサドルでもよい気もするし、また単独のヒルクライムであればむしろショートサドルの方が力が入る気がする。もちろん、その辺は好みの問題も入ってくると思われるが参考になれば幸いである。

さて、その点でいえば、ノーマルモデルはSMPらしい安定感を保ったまま、ショートバージョンと比べ、座れる範囲が広く、自分の要望通りのサドルであった。それ以外の特徴はショートバージョンと変わらず、ベースがしっかり作られており、耐久性も高そうであった。

一方で、軽さを求めてカーボンレールバージョンにしてみたが、そもそもショートノーズモデルからの変更なので、カタログ上も35gしか差がなく、ほぼ体感できなかった。実測重量は測っていないが、恐らくレール以外の重量はほとんど変わらないことも影響していると思われる。すなわち、一番上の部分の重量が変わっていないため、軽さの影響を体感しにくいのではと推察する。ちなみにレール自体はかなり太く、耐久性が高そうであるし、表面の滑り止め加工もしっかりしているので、取り付け面でもほとんど不安がない。総合的には重さ以外絶賛できるサドルである(がサドルは最も好みが分かれるパーツだと思うのであくまでも参考程度にして頂ければ幸いです;実際、完全フラットなサドルが好きな人には向かないと思う)。
Selle SMP F30 CARBON RAIL(写真はiPhoneのスタジオ照明を試したかっただけで特に意味はありません)


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